ウィズたからづか｜雪組早霧せいな

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雪組早霧せいな

7月26日まで上演の雪組・宝塚大劇場公演は、国際的な捜査機関に属する、心に傷を持った男女ふたりの運命をめぐる人間ドラマ、ミュージカル『ロジェ』と、気持ちを込めて観客の心を揺さぶり続けたいというメッセージを込めた、ショー『ロック・オン！』の2本立て。すっきりとした二枚目ぶりが舞台に映える早霧せいな、雪組トップスター水夏希のラストステージを、熱く激しく盛り上げる。

ハードな男役とダンスをたっぷり観せる

小さい頃から身体を動かすことが大好きだった。中学ではソフトボール、高校ではバレーボールに熱中した。根っからの、体育会系だ。早霧せいなとして宙組公演『ベルサイユのばら2001』で初舞台を踏んだ日から10年。ハートの熱さを内に秘めた、軽快な身のこなしに、独特の個性が薫る男役である。

　そんな早霧せいなさんが、これまでの動のイメージを一新させた。

　「クラウスは、自分がこれまであまり演じてこなかった静かな役。動かずに存在感を出し、お客様の心に残るように演じたい」

　宝塚大劇場で上演中の『ロジェ』。早霧せいなさんの役は、いわゆる殺し屋だ。本公演で退団するトップスター水夏希が演じる国際的捜査官ロジェと敵対し、戦犯を守ろうとする立場。本作品は作・演出を担当する正塚晴彦氏が得意とするハードボイルドの世界。男役スターが存分に魅力を見せつける。
「プロローグから、ソフト帽を被った男役たちの、ハードなダンスがあります。私はロジェに銃を向けたり、ライフルやナイフを使った、ちょっとした立ち回りもするので、殺し屋として軽くこなせるように、見せ方を追求していきたいですね」

　2006年『NEVER SAY GOODBYE』のジョルジュ、同年『維新回天・竜馬伝！』の坂本竜馬で2度の新人公演主演と、2008年バウ・ワークショップ『殉情』の佐助で宝塚バウホール公演初主演を経験した宙組から雪組に移って4作目。いまや、気軽に悩みを聞いてもらえる上級生として、雪組の下級生からも慕われる存在である。

　「子どもの頃から人見知りでした。初めての組替えで緊張しなかったといえば嘘になりますが、自分から積極的に話しかけようと心がけました。すると、だんだん人と打ち解けることが楽しくなって。それが芝居をつくっていく段階で大いに役立っています」

　今年2月、宝塚大劇場公演『ソルフェリーノの夜明け』に、その成果が如実に表れていた。早霧せいなさんが演じたのはオーストリア兵のベルガー。イタリア戦で負傷し、捕虜に。ほとんどがグループ芝居の中、早霧せいなさん扮するベルガーは日を追うごとに存在感を増していったのだ。スターだから当然といえば当然なのだが、舞台のどこにいてもひときわ目立ち、視線が吸い寄せられていったのはなぜか。

　「私はオーストリア兵の一員として、オーストリア兵、イタリア兵、看護婦さん、修道院の皆さんたちと一緒に舞台に出ることが多かったので、自分の存在や居所を大切にしながら、大人数の中に埋没してしまわないようにということをすごく考えました。そのためには、出演者とのコミュニケーションが重要だと気づき、初日後もディスカッションを重ねたら、芝居がどんどん演りやすくなりました」

　初日の幕が開いてからも、どうすればそれぞれの役が舞台でもっと息づくことができるか、みんなで考え続けたという。率先して取り組んだ、その作業により、心が動き、それぞれの個性が輝き出した。痛ましい戦場を扱った芝居にリアリティが生まれた瞬間だった。

　一方、『ロジェ』と共に7月26日まで宝塚大劇場で上演中のショー『ロック・オン！』では、早霧せいなさんの宙組時代以来のハードなダンスがたっぷりと観られる。
　「最近はストーリー性のあるショーに出させて頂くことが多かったので、こんなにハードなダンスは本当に久しぶりです。男役としての踊りをたくさんお見せできるのがうれしい」

　選ばれた人が心魂を傾けて培ってきた、世界でただ一つの男役の華。早霧せいなさんの躍動感はナマの舞台を観るに限る。『ロジェ』『ロック・オン！』の東京宝塚劇場公演は8月13日から9月12日まで。

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