8月24日に地蔵盆の法要が行われる清荒神清澄寺。夏には暑さをしのぐ大銀杏も9月には実をつけ、秋に向って実を落としていきます。銀杏の木を仰ぎ見る史料館では「名僧の書画」が開催され、名僧の中でも能書家として有名な空海(弘法大師)の真筆で国宝「三十帖策子」(複製)、江戸初期の高僧、湛海の不動明王像や江戸後期の慈雲の書、和田呉山の三菩薩像、そして富岡鉄斎とも親交があり、宗美一体の理念を唱えた清澄寺先々代法主、光浄和上の書など見ごたえのある作品が展示されています。
9月28日まで開催されている史料館の展示「名僧の書画」。
古来より知徳に秀でた僧侶は信仰に根ざした表現として仏像彫刻や仏画あるいは書画を描き、歴史に残る芸術を生み出しています。真言宗の宗祖弘法大師空海は、遣唐使として入唐、僅か2年間に膨大な経典を学び書写したことで知られ、その卓越した書は我が国の三筆(嵯峨天皇、橘逸勢)と言われています。書家としても多くの作品を遺す鉄斎が「今、弘法大師がおられたらワシと書道の話しが合うじゃろうが!」と語ったという逸話も残っています。ここでは、限定200部(複製)で作られた仁和寺に遺る空海筆の「三十帖策子」を見ることができます。
また、奈良宝山寺を再興させた江戸初期の僧で、唐招提寺や法隆寺(西円堂)にも仏像を遺している湛海81歳の仏画「不動明王尊像」は迫力満点です。
江戸後期の僧、慈雲筆「大海随魚躍・長空任鳥飛」や和田呉山の「観音・文殊・普賢三菩薩像」、すぐれた梵字の書を遺した江戸初期の僧、澄禅筆「理趣経段之種子」の他、清澄寺先々代法主光浄和上93歳の書「龍華」や昭和を代表する書家、森田子龍に師事した先代法主光聰和上の書も展示され、歴史的にも貴重な書画が楽しめる史料館ならではの展示となっています。当山が所蔵する南北朝時代の画僧、良全筆「釈迦三尊像」は重要文化財に指定され現在、京都市立博物館に寄託されていますが、写真パネルで見ることができます。