4月2日から鉄斎美術館では、鉄斎の子息で東洋史学者の富岡謙蔵生誕140年を記念し、「鉄斎と謙蔵」展が開催されているが、同じく境内にある史料館でも「鉄斎に魅せられた人々」をテーマに鉄斎と所縁のある人々の作品や鉄斎の芸術振興に尽くした先々代法主、光浄和上に因んだ作品が展示されている。
清澄寺先々代法主、光浄和上は鉄斎の画に流れる深い精神性とその人柄に惹かれ、晩年の富岡鉄斎と親交を持ち、多くの作品を蒐集、大正12年には鉄斎を招く為、客殿「百錬堂」と茶室「春光庵」を創建するに至り、昭和17年には和上の発案により、七代目松本幸四郎振り付け、主演の長唄「ゑがく鉄斎」が東京歌舞伎座で上演された。史料館には、鉄斎最晩年の大正13年12月28日付で和上に宛てた書簡や七代目松本幸四郎の隈取が展示され、鉄斎と和上の繋がりを見ることができる。また、昭和32年からはアメリカを皮切りにカナダ、ロシア等、初の鉄斎海外巡回展が行われ、昭和35年からのカナダ巡回展開催に尽力した画家でブリティッシュコロンビア大学主任教授のB.C.ビニング氏の作品も紹介されている。
鉄斎との合作も多い陶芸家三浦竹泉(初代、二代)の水注や建水など貴重な茶道具のほか、鉄斎の妻、春子手捏茶碗や孫で鉄斎美術館初代館長を務め、鉄斎作品鑑定の一人者である富岡益太郎の油絵など他では見られない「鉄斎に魅せられた人々」の作品があり興味深い。