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月組 龍 真咲

月組新トップスター・霧矢大夢のお披露目、そして第96期初舞台生のデビューとなる月組宝塚大劇場公演は、4月16日から5月17日まで上演のミュージカル『THE SCARLET PIMPERNEL』。 華やかなオーラがにじみでる龍真咲、男役10年目を迎え、新生月組の舞台を力強く盛り上げる。

10年目のスタートは 新生月組での大役・ショーヴラン

 フランス革命を描いた宝塚歌劇と言えば『ベルサイユのばら』。何バージョンも創られ、繰り返し再演され、外伝まで描かれた絢爛豪華な宝塚歌劇の代表作だが、2008年、全く別物の冒険活劇が登場した。星組で初演された『THE SCARLET PIMPERNEL』である。大ヒットしたブロードウェイ・ミュージカルの宝塚バージョンで、イギリス貴族がフランス国王の遺児ルイ・シャルルを救出するために秘密結社を組織して暗躍するという、この実に痛快な作品は、男と女の愛の駆引きも鮮やかに描かれており、読売演劇大賞優秀作品賞、菊田一夫演劇大賞などを受賞した。この4月、月組で再演されることになり、躍進めざましい龍真咲さんが、秘密結社スカーレットピンパーネルの撲滅を狙う革命政府の公安委員ショーヴランと、ヒロインの弟アルマンを役がわりで演じる。さっそく稽古場の様子をお聞きすると、
 「霧矢さんを中心とする新生月組のお披露目公演なので、みんなで一つになって盛り上がっています。たくさん歌わせていただきますが、音域が広く転調も曲中にあるので、バラードの『君はどこに』も『鷹のように』と同じくらいエネルギーがいるんです。『マダム・ギロチン』は全員で歌う大ナンバーだし、『栄光の日々』はショーヴランが自分を見失う直前に歌う曲なので、切ない。繊細なメロディを大切に歌いたいです」

 どのナンバーも難易度が高いが、作曲家フランク・ワイルドホーン氏によると、特にショーヴランの音域の広さは彼の気性の激しさを表しているという。龍真咲さんの力強い熱唱が楽しみだ。

 「裏町のドブを見て育ったショーヴランは貴族に対して激しい復讐心を燃やしますが、ショーヴランの信念ゆえに屈折する思い、それをも超える彼の魅力をお伝えしたい。彼はマルグリットを目的のために利用しても、彼女を愛した一瞬をすごく覚えているんですよ」

 だからこそ切なさが募る、上質のエンターテイメントなのだ。もう一つの役、アルマンには心が通う恋人がいる。「恋人のいる役は初めてです。アルマンはやさしい人。フランス人でありながらイギリス貴族に協力するのは、彼なりの革命に対する疑念があるから」

 初日はショーヴランで登場する龍真咲さん。役がわりの明日海りおとは博多座『ME AND MY GIRL』、宝塚バウホール『二人の貴公子』でも競演した。「一定期間、役を交替して演じることで、お稽古場では自分の役を含めて全体の動きを見ることができます。舞台上の自分を客観的に見たいという思いが叶う絶好のチャンス」


 常に生き生きと果敢に挑戦し続ける龍真咲さんだが、自分の映像を見るのは稽古に使う記録用のみ。「市販のDVDは怖くて、まだ見たことがないんです」と意外な一面をのぞかせる。不退転の決意で挑むからこそ、心のヒダが震える。『エリザベート』ルキーニの狂気も、主演作『HAMLET!!』の苦悩も、そんな龍真咲さんを通して熱い血の迸りを見せた。
 「これまではパワーで進んできましたが、今年は地に足をつけて一歩ずつ、しっかり地面を感じて歩んでいけたらと思います」

 2001年『ベルサイユのばら2001』で初舞台を踏み、2度の新人公演主演を経て、男役10年目を迎えた。第96期初舞台生がラインダンスを披露する『THE SCARLET PIMPERNEL』で、龍真咲さんは新たなスタートを切る。

 「あっという間に10年が経ちました。男役10年という言葉の意味を身をもって感じています」


 物語の後半、ショーヴランに扮した龍真咲さんは迫力ある殺陣シーンを披露する。さらにフィナーレではサーベルを使ったダイナミックな男役たちの群舞も見所の一つ。臨場感をもって物語を楽しむには最適の公演だ。

 「これからも学び続けるのみ」

 龍真咲さんの燃えるような決意が眩しい。

龍 真咲さん

2001年『ベルサイユのばら2001』で初舞台、月組に配属。06年バウ・ワークショップ『Young Bloods』で主演。07年『パリの空よりも高く』で新人公演初主演。09年バウ公演『二人の貴公士』で明日海りおと共にバウ初主演。10年バウ公演『HAMLET!!』で主演、好評を博す。
大阪府出身/愛称・まさお、まーくん

インタビュアー 名取千里(なとりちさと)
ティーオーエー、現代文化研究会事務局/宝NPOセンター理事主な編著書「タカラヅカ・フェニックス」(あさひ高速印刷)「タカラヅカ・ベルエポックI・II」(神戸新聞総合出版センター)/「仕事も結婚も」 (恒友出版)
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