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雪組 蓮城 まこと

8月31日まで上演中の雪組・宝塚大劇場公演は、風変わりな男女が対立しながら恋に落ちていくスクリューボール・コメディ『ロシアン・ブルー』と、リオに生きる人々の喜びや哀歓を色彩豊かに表現したラテン・ロマンチカ『RIO DE BRAVO!!』の2本立て。 華やかな雰囲気が漂う若手注目株の蓮城まこと、演技の幅を広げ、新生雪組のお披露目となる真夏の舞台を熱く盛り上げる。

新生雪組の若手スターとして 最後の新公で男役の芸を魅せる

 宝塚大劇場雪組公演『ロシアン・ブルー』『RIO DE BRAVO!!』が7月31日、初日の幕を開けた。主演の水夏希が新しい相手役・愛原実花と初めて組む新生雪組披露公演だ。

 そのスクリューボール・コメディ『ロシアン・ブルー』―魔女への鉄槌―の新人公演が18日に行われ、蓮城まことさんが主演する。「私にとって最後の新人公演。再び主役のチャンスをいただき、幸せです。悔いなくできるよう、がんばります」   

 下級生だけで本公演どおりに行う新人公演は、研究科7年までの生徒が出演する。蓮城まことさんの初舞台は2003年4月、『花の宝塚風土記』。その後、雪組に配属。2006年『ベルサイユのばら―オスカル編―』で小公子、2007年『エリザベート』の新人公演で悲運の皇太子ルドルフなどを演じ、2008年『君を愛してる―Je t´aime―』新人公演で初めて主役に抜擢された。

「今回は、2度目の主役であり学年の長。同期7人と共に50数人の下級生を引っ張っていく責任があります。役としても芯をしっかり持って演じなければと、身が引き締まる思いです」

 蓮城まことさんは新人公演で初主演したあと、『マリポーサの花』『ZORRO 仮面のメサイア』の2作品の新公で敵役を演じた。本役では副組長が務める、キーポイント的な役だ。少女漫画の主人公のような華やかさの中に繊細さが見え隠れする魅力をもつ蓮城まことさんが、髪型やメイクにも工夫を凝らし、悪役の中の悪役に徹して演じ切った。その経験が『ロシアン・ブルー』の主役、アルバート・ウィスラーに生かされるはずなのだ。

「どうすれば作品全体に貢献できるか、自分の役割をきちんと意識する良い勉強になりました。新しい引き出しが増え、自分なりに役を演じる幅が広がったかなと感じています」

 新人公演の稽古が始まるのは、初日が開いてから。だが、それまで何もしないわけではない。本公演の稽古中は大事な準備期間なのだ。

「お稽古場では水夏希さんのお芝居をずっと見て、台詞や段取り、歌などを覚えていきます。実際に新公の稽古が始まってからは、自分の役としてどんどん膨らませていけるよう努めたいです」

 アルバートはアメリカの下院議員。舞台芸術家の訪問団を率いてモスクワにやって来た。ところが時代は1930年代のこと。鉄の女の異名を取る女性官僚が、アルバートをスパイと疑い、厳しく監視する。実は二人は魔法使いと魔女の末裔。それぞれが作った惚れ薬がとんでもない騒動を引き起こすという、ハイテンポなコメディである。

「ただ楽しく演じるだけでは役を深めることはできません。バックグラウンドをしっかり持たないと軽い人物になってしまうよ、と水さんにアドバイスをいただきました」

『エリザベート』のトートに比べると創り込まなくてもいい役といえる。が、そもそも男役自体が現実にはいない、創り上げた芸術品。その点で、キャリアが物を言う作品。新人にとっては厳しい挑戦になる。蓮城まことさんの本公演での役はロバート。「アメリカ共和党の下院議員で、アルバートにライバル意識を持って何かと張り合う。ありがたいことに水さんと台詞のキャッチボールもあり、胸をお借りしています。新生雪組の披露公演。愛原が必死でがんばっているので、組全体が良い雰囲気で充実した稽古をして、その勢いを舞台につなげています。本公演も新人公演もぜひ、たくさんの方に観にいらしていただきたいです」  

宝塚大劇場公演は8月31日まで。ロマンチックなラテンショーと共に、真夏の暑さを吹き飛ばす舞台である。

蓮城 まことさん

2003年『花の宝塚風土記』で初舞台、雪組に配属。08年、『君を愛してる-Je t´aime-』で新人公演初主演。
大分県出身/愛称・きんぐ、ぴろこ

インタビュアー 名取千里(なとりちさと)
ティーオーエー、現代文化研究会事務局/宝NPOセンター理事主な編著書「タカラヅカ・フェニックス」(あさひ高速印刷)「タカラヅカ・ベルエポックI・II」(神戸新聞総合出版センター)/「仕事も結婚も」 (恒友出版)
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