炎天下の先日、汗を拭いながら尼崎市総合文化センターで開催されていた「尼崎アートフェスティバル2012」の会場を訪ねた。
阪神間で活躍している70人の作家の作品が紹介されている現代美術展だ。平面から立体まで、さまざまな素材で自由な表現によって、各作家の制作した作品群が、所狭しと並んでいた。
なかでも宝塚在住の作家、山本修司と吉野晴朗両名の作品が目に留まったので紹介してみたい。
山本修司の〈太陽を求めて〉は、近年取り組んでいるエアーブラシによる“洩れ陽”シリーズのなかの大作であった。作品は、太陽を遮る樹木の間から零れた光が、まるで魚鱗のように輝いている。
観ている私は、幻想的な樹木を包む光に魅せられ、光合成の図式に思いを巡らせていた。山本の自然をモチーフにした創作姿勢は、心地よい時空間の具現化に腐心していることではないだろうか。
次に吉野晴朗の〈森の園遊会〉だが、20点の組作品で構成されていた。
植物の葉や小さな花弁が、雲のようなフォルムに絡まれて、軽やかさと可愛いらしさが加わり、理屈抜きに新鮮な風が漂っている作品に仕上げている。
吉野は、最近植物の葉をモチーフに、CGを駆使した作品制作も試みている写真家である。何れの作品も、葉の緑が爽やかに映り、心地よいリズムが奏でられている。
偶然かもしれないが、山本、吉野の作品は、植物の葉がモチーフとして扱われていた。画面上の処理は、相互に異なるが、片や樹々の間の洩れ陽であり、一方は植物の葉の組み合わせであり、何れも自然へのやさしい作家の視点が感じられる。今後も、独創的な作品で私たちの眼を楽しませてもらいたい。
自然へのやさしい視点を
感じさせる2作品