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―私が関わった出版物二冊― 『阪神美術探訪』と 『大河内菊雄著作選集』

―私が関わった出版物二冊― 『阪神美術探訪』と 『大河内菊雄著作選集』

阪神美術探訪 ,版画 ,大河内菊雄著作選集

 昨年10月、筆者が65歳の誕生日を迎えるのを目途に『阪神美術探訪』(光村推古書院刊)を出版いたしました。2007年に20年間勤めた伊丹市立美術館を退いて以降の美術展評や阪神間のパブリックアート、アトリエ訪問記などを収録。例えば、宝塚在住の森本紀久子さんや河崎ひろみさん、辻司さん、武内ヒロクニさん、吉野晴朗さんらを紹介しています。

 なお拙著の表紙には、先の阪神・淡路大震災で西宮市の自宅が倒壊して犠牲になられた画家の津髙和一氏の版画作品を使用させていただきました。

 また私自身の学芸員生活を振り返り、集客や効率優先に傾いている美術館運営にもふれてみました。


伊丹市立美術館の基礎を築いた大河内菊雄氏の論考


 つづいて今年2月に、伊丹市立美術館の初代館長を務め、「諷刺とユーモア」を理念に美術館の基礎を築いた大河内菊雄氏が2005年に死去され、昨年7回忌を迎えるのに合わせ、阪神間の美術館学芸員有志を刊行委員に、大河内氏の論考を集めた『大河内菊雄著作選集』(光村推古書院刊)を出版いたしました。

 大河内氏は、学習院大学を卒業後、草創期の神奈川県立近代美術館に勤務し、在阪のテレビ局を経て、1987年に阪神間初の公立美術館としてスタートした伊丹市立美術館館長に就任。神奈川県立近代美術館時代、今日の公立美術館運営を確立した土方定一氏の薫陶を受け、その精神を伊丹で実践された。19世紀フランスの諷刺画家ドーミエをコレクションの核に据え、関西の近現代美術家の展覧会も企画するなど美術館のあり方を築かれた。

 著作集は、16年に及んだ館長時代に関わった展覧会の図録に寄せた作家・作品論などを収録。その文章からは、自己の審美眼で選んだ美術家たちの横顔が浮かび、親しみやすい独自の論調がうかがえる。

 興味、関心を持たれた方は、坂上義太郎(TEL・FAX072−781−6550)までお問い合わせください。


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