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森田子龍と墨人会展

森田子龍と墨人会展

 兵庫ゆかりの書道家として、前衛書の上田桑鳩と共に昭和の書道史に遺る森田子龍の作品を観ることができる展覧会「森田子龍と墨人会」が7月1日~9月28日まで(8月10日~16日夏期休館)史料館で開催され、清荒神清澄寺所蔵の作品と、氏が昭和27年に、「美術としての書道」の普及を目的に結成し、今に受け継がれている「墨人会」所蔵の作品が展示されている。森田子龍は鉄斎を崇敬し研究のため、度々同山を訪ねたといわれ、鉄斎美術館の正面玄関に飾られている扁額「聖光殿」と門標を揮毫するなど同山との関係は深く、多くの作品が遺され、その中から昭和41年に米ニューヨークで開催された展覧会に出品を依頼されて、前年の秋に制作された53歳の作「龍」極大字漆金屏風などが墨人会所蔵の「泉」「印」などの作品とともに展示されている。臨書研究誌「龍門」の編集を手がけた氏による古書名筆の貴重な臨書が展示されているのも興味深い。

 また、フランスの著名な文芸評論家、ロジェ・カイヨワ氏との共著で世界に217部しかない超大型本「印(Chiffres)」のカイヨワ氏の詩と子龍書「虹」も展示されている。
 その他、子龍遺愛の毛筆や創作中の写真なども見ることが出来る。
濃緑の中に佇む清荒神清澄寺の史料館で、森田子龍のアーティスティックな書を楽しんでみませんか。


「龍」極大字漆金屏風 昭和40年 53歳(清澄寺蔵)

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