薫風に誘われ私は、宝塚の中央図書館内にある聖光文庫展示コーナーで開催されている「寄贈絵画・歴史資料展」(5月12日~7月10日)を訪ねた。
寄贈絵画の展示では、洋画家の中畑艸人(1912~1999)と小出卓二(1903~1978)両氏の油彩作品を鑑賞した。
今展の「CARNEVALE(Viareggio)」(1966年)は、衣裳を凝らした音楽隊のパレードを描いている。画面は、沿道からの紙吹雪の中、祭に酔いしれている臨場感に溢れている。
「グビオの聖金曜日」(1967年)は、中畑氏の群衆表現における構成力や的確なデッサン力に裏付けられた人物描写に魅せられる作品だ。聖歌隊の一人ひとりの表情描写に、鋭い観察力が窺える。何れにしても、敬虔な人々の信仰心が画面に漂っている。
小出氏の「北陸の海岸」(1956年)は、画面左上部に燈台が配置されているが、まるで一人の人物が海を見ているような錯覚に陥ってしまう。
「海峡風景」(1972年)は、朝か夕方の海景なのか分からないが、黒い雲間から海に射し込む陽の光、その光に海面が輝いている。画面中央の左右に行き交う船に、動的なリズムが生まれ、動と静や明と暗といった対比の表現が見事だ。
夕景の「長崎港」(制作年不詳)は、夕陽が映る海面の輝きとシルエット風に描かれた帰船の明暗表現にしばし見とれてしまった。また、画面右上部の黄金色の空の描写にも舌を巻いてしまった。
今後も宝塚ゆかりの作家を紹介する企画に期待しながら会場を後にした。
宝塚ゆかりの、二人の洋画家