『ウィズたからづか』編集部のある宝塚南口駅前ロータリーに彫刻家・木内禮智作〈平和への願い〉ブロンズ像(高さ約1.8m)が佇んでいる。コンクリート製台座(高さ約60㎝、縦60㎝×横60㎝)には、四つのテストと刻印された銘板が嵌め込まれている。
Ⅰ 真実か、どうか
Ⅱ みんなに公平か
Ⅲ 好意と友情を深めるか
Ⅳ みんなのためになるかどうか
因みに、この婦人像が設置された1974年は、宝塚歌劇団月組が池田理代子の人気漫画「ベルサイユのばら」を初演している。フランス革命を舞台にした純愛劇で、主人公オスカルが男装の麗人という設定が受け、2年間で140万人を動員する空前のヒットとなった。
さて、一羽の鳩を乗せた右手を高く上げ、左の手のひらにも一羽の鳩を乗せ、左足を少し前に出している〈平和への願い〉。作品名が語るように、婦人像の両手には、平和の象徴である鳩が布置されている。
私は四つのテストの銘板を眺めながら、作品名との関わりを思考していた。ロータリークラブの行動理念なのか、一見啓発的な彫刻作品とも見て取れる。誤解であればご海容ください。もし、四つのテストがロータリークラブの行動指針なら、台座の後に刻印すべきではなかっただろうか。婦人像の正面の銘板は、作品名、作者名、寄贈者名、設置年に限るべきで、公共的空間に設置されることを考慮すれば、公私の別を明確にすべきだと思うのですが。ロータリークラブの理念でもある社会奉仕や文化貢献の一環として設置されたモニュメントだけに、少々残念に思う。
何れにしても、〈平和への願い〉は、均整のとれた体型や長い髪とコスチュームの襞の構成が美しく、清々しさが駅前ロータリーに醸し出されている。