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木からエネルギーを貰って 山本 修司 展

木からエネルギーを貰って 山本 修司 展

瞬間のイメージを具現化

閃きによってエネルギーが生まれる。
エネルギーによって自分を現わす。
小さな個の事が、他に新たなイメージを残す。
今、生きていて、今を感じながら
環境、世代、時代を知る。
  (後 略)      山本 修司

 今年の2月初め、大阪の画廊で開かれていた山本修司展(宝塚市在住)を覗いた。山本は、小学生の時に校内の絵画コンクール展で幾度も表彰された。中でも4年生の頃、とあるコンクール展で銅賞を受賞した作品が、地元テレビで紹介される位絵を描くことが好きだった。

 中学校では、誘われて吹奏楽部に入部。受け持った楽器はトロンボーン。吹奏楽の全国大会に、愛媛県代表として出場しているが、絵の方も時間を見付けては描いていた。

 そして高校は、デザイン科がある愛媛県立南高校に入学。デッサンを経て油絵へと、比較的自由に物を作ったり、描いたりの日々だったとか。卒業前、美術系の大学に進学したい思いが募っていた。両親の理解を得て、親類も多くいる大阪の大阪芸術大学を受験。

 1回生から2回生では、専ら具象画を描く。ところが、「自分は、このままでいいのだろうか」と山本は悩んだ。そんな中で、ヨーロッパに遊学してみたいと考えるや否やアルバイトを始めた。3カ月位を目途に、貯めた金でフランスに渡る。

 とにかく、ひたすらに美術館や画廊を巡り、「あんな物を描いてみたい。こんな物を描いてみたい」と思いを巡らす。

 この渡欧を契機に、山本は具象画から抽象画に転進。3回生から泉茂ゼミを選択した。

 更に大阪市美術館の地下にある美術研究所のデッサン教室に通うといった学生生活を過ごす。だが泉茂は、山本には何もいわなかった。山本は、泉茂の作家としての動向から多くを学ぶ。

 さて、近年は“素材から学ぶ”といった創作姿勢により、木々の切り株からエネルギーを造形した作品に取り組んでいる。「揺らぎによる変異成長」(図版)はコラージュによる組作品(鉛筆、ペン)である。作品は、私たちに様々な事を語っている。花が開花する軌跡を平面と立体とで表現し、心地よいリズムと時間を造出している。山本が、瞬間のイメージを具現化する造形作家のひとりであることを窺えた展覧会であった。

伊丹市立美術館 宮ノ前 072(772)7447

山本修司(宝塚市在住)プロフィール
1959年 愛媛県松山市に生まれる
1982年 大阪芸術大学芸術学部美術学科卒業
1980年 田都画廊(松山)で初めての個展を開き、2009年 ギャラリー白(大阪)での個展まで多数開催する他、グループ展 百花繚乱(兵庫県立近代美術館)など多数。

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