「大自然に学び愛せよ、創造主に近づけ」という校訓を持つ仁川学院の中庭に、彫刻家・大垣圭介(1943年、神戸市生まれ、宝塚市在住)の石彫モニュメント〈太陽の賛歌〉全7点が設置されている。
先日、梅雨の合間に仁川学院へ大垣圭介を訪ねた。中庭は、アゴラという中央広場の延長上にあった。学院は、この中庭とアゴラを囲むように建てられている。学院では、このような環境下で「宗(つな)ぐこと」と「際(まじ)わること」といったテーマを具現化している。
さて、大垣は1967年に金沢市立美術工芸大学彫刻科を卒業。実は中学時代から、自宅裏に住んでいた彫刻家に美術図書や彫刻づくりに必要な道具を借りて、物づくりを始めている。高校では美術部に所属し、イタリアの美術家・フォンタナの空間意識に強い関心を寄せる。
石との出会いは大学入学後、存在力が強い石に興味が湧き、金沢市内の墓石屋の職人さんから道具の使い方を学ぶことに始まる。大学卒業後、岡山県笠岡市にある北木島の採石場で、自己の造形として本格的に石と取り組む。翌年、ふとしたことから彫刻家・山口牧生(故人)と出会い、山口からの誘いもあり、香川県小豆島で開催された「日本青年彫刻家集団石彫シンポジウム」に参加。このシンポジウムが契機となり、小豆島にアトリエを構える。
1988年、神戸から勤務先である仁川学院の近くの宝塚市へ転居する。大垣は、アッシジの聖フランシスコの「兄弟なる太陽の賛歌」という詩に感銘を受け、石彫制作への衝動にかられる。〈姉妹なる星〉、〈姉妹なる月〉、〈兄弟なる太陽〉、〈姉妹なる水〉、〈兄弟なる火〉、〈兄弟なる風〉、〈姉妹なる大地〉全7点制作意図について、「人とそのキーワードがどう関わっているか、太陽でいえば暖かさ、夜と昼、紫外線、生と死・・・など思いつく限りのイメージを、それを一つひとつの作品に表現した」と語ってくれた。
また「石彫制作の初めは、“石に彫らされる”。しばらくして“石と話し合いが出来るようになる”。その後、“石と話し合いの結果が作品となる”」といった大変興味深い話を、大垣は聞かせてくれた。
仁川学院の教育理念に呼応するかのように大垣の作品たちは、私たちや児童・生徒に“人生を学ぶとは”“敬神”などのメッセージを爽やかに伝えてくれている。
大垣圭介プロフィール
1943年神戸市東灘区に生まれる
1967年金沢市立美術工芸大学彫刻科卒業
1968年日本青年彫刻家集団石彫シンポジューム
1994年宝塚石彫シンポジューム
1997年倉敷まちかど彫刻展優秀模型展
2005年震災モニュメント制作(仁川小、夙川公園)
個展、グループ展など多数