5
「グラジオラス」大月紅石(水墨画家) 庭隅のいつもの定位置で直立不動の姿勢で咲いているのはグラジオラス、10本ほどが朱赤の花びらを燃え立たせています。どこからか飛来した黒揚羽蝶の舞い、耳朶の奥でカスタネットのリズムが響き始めます。 グラジオラスの一番咲きを供く花げにするようになって久しく、鋏を入れながら思うのは、花好きだった姑が喜んでくれるのでは…と。花が仲立ちをしてくれる思い出は優しく美しいものばかりです。