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表紙絵 「八重桜」 大月紅石 (水墨画家) 重たげに嫋いつつ瑠璃の天へと伸びた一ト枝。 幾重にも花弁を重ねて丸く、 まるで薬玉のような花が風に弾んで揺れています。 染井吉野が花吹雪となって散った後に八重桜は華やかに紅を掲げています。 染井吉野の咲いている間は決してその舞台の邪魔をせず、 演じ切った姿を見届けてから開花する八重桜、 自然の摂理に従う姿勢というのでしょうか。 染井吉野に勝るとも劣らない花姿は今、 思うぞんぶん美を謳い上げています。