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-バックナンバー- 2005年5月号 | ||||||||||||
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京阪沿線に住み、京都で大学時代を過した角川英男さんが、テーマを絞らず有名無名にかかわらず、自分が行きたいと思った京都の史跡に足を運び、書き上げたのが第一作目となる「徒然に歴史を巡る」。からし色に墨で書かれた題字が少し古風な表紙は歴史を紐解くにはぴったりといった感じ。知人にも読みたくなるような表紙と評され、嬉しかったという角川さん。これまでに何冊も本を手にしてきたが、表紙に深く関心を持ったのは初めて。手書きの原稿が活字になり、本という形にさえ仕上がれば、と気楽に本作りをはじめた。 「何事も経験しないとわからないものですね。表紙の装丁や仕様もおろそかにできないことを知りました」。そして、「読んでもらう人のことも考え、読みやすく段落をわけるとか、漢字をもう少し減らすとか、出版をしたことで読み手のことも考えるようになりました」と語る。 だが、元同僚たちの評判は良く、この本を手に史跡を周ってみたいという人も。 第1章は京都の中心地を取り巻くように存在している古社を訪ねた「京都十六社朱印めぐり」、第2章は洛北・岩倉盆地から滋賀に近い山科、奈良に近い南山城・加茂までの寺社を辿った「洛北から山城へ」、第3章は人物を読み解いた「京に縁りの人々」。小野家の人や室町末期、海外貿易の先駆けとなった角倉家の人々など歴史に大きな足跡を残した人々を取り上げ、京都の隠れた歴史、文化の一端に迫っている。 京都人が意外にも地元を知らない、という角川さん。古い歴史に培われた京都への愛着が本を書く原点。この本を手に取った一人でも多くの人が京都を好きになってくれれば、との思いが募る。 2作目の構想もすでに練られ、「次はもっと気軽に読んでもらえるよう歴史小説風に仕上げてみたい」。角川さんは原稿用紙に万年筆を滑らす日々を楽しんでいる。 |
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