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-バックナンバー- 2005年5月号


未涼亜希さんは、研究科7年を終了したばかり。初舞台は、あの宙組お披露目公演『シトラスの風』だ。まさか新組が発足するとは想像もしていなかったから、順に数えて花組公演で初舞台を踏むだろうと思っていたそうだ。歴史に残る貴重な初舞台体験は、強く思い出に残っている。
 現在、すでに独自の男役スタイルをもち、男役スターの宝庫である花組でひときわ光っている新進スターの未涼亜希さん。

 その未涼亜希さんが新人公演で演じてきたのは、花組トップスター春野寿美礼の役が多い。
 まず『琥珀色の雨にぬれて』の準主役ルイ。徹底的にキザなジゴロ役だった。それから『天使の季節』では、パリの売れない芸人ギスターブと、90歳のカネロニヤ国王ペスカトーレとの二役で主演。そして『La Esperanza』の主役カルロス。徹頭徹尾カッコいいタンゴダンサーである。

「新人公演時代の7年間を振り返ると、ストイックにお稽古をしてきたように思います。私は中途半端が嫌で、やるからにはとことんやるのが好きなんです。楽して切り抜けようとは思いません。新人公演は特に、どんなに本役さんを真似たとしても同じレベルまで達するのは難しいので、結局自分のもっているものしか出せません。自分を磨くために、そして、これだけやったのだから大丈夫という自信をつけるために、より厳しい道を選んできたようなところがあります」
 はっきり、きっぱり、そう言い切る。

 舞台姿から感じていた二枚目優男風なニュアンスは、ご本人に会ったとたん、吹き飛んでいた。形のいい大きな目、しっかりと通った鼻筋、まっすぐな視線。男役スター・未涼亜希さんの大きな存在感が新鮮な輝きで迫ってくる。言うまでもないことだが、舞台人としての器が大きい人なのだ。

 昨年末、シアター・ドラマシティ公演『天の鼓』で主役・春野寿美礼が演じる虹人の親友、多樹役を好演した。鼓の名手同士、同じ女性を好きになるという設定だった。

「同じ舞台に立っていても、それまで一度も春野さんと芝居をしたことがなく、まず春野さんに慣れることから始めなくてはいけなくて(笑)。初めて台詞を交わした時に威圧されるものがあって、存在感の大きさに圧倒されました。面と向かい合って初めてわかる凄さといえばいいのでしょうか。レッスンするだけでは得られないものが、舞台に立たせていただくことで初めて経験できます。こんな貴重な機会を与えていただけるのは、本当にありがたいと思いました」

 

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