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降りしきる雨の中、紫陽花の青い鞠が重たげに揺れています。嫋うたびに光りながらこぼれる雨滴、雨の中に美しい群青色の濃淡が流れて行きます。でんでん虫はゆっくりと銀色の仮名文字を描き、葉蔭には蝶が羽を休めています。ああ、命。この雨あってこそ、この水あってこそ。――人もでんでん虫も。