バックナンバーへ|TOP
-バックナンバー- 2004年6月号

48人に一人という、過去最高の競争率を突破して、遼河はるひさんが宝塚音楽学校に入学したのは1994年、宝塚歌劇80周年の年だった。

「来年で男役10年です。今までは与えていただいたものに、がむしゃらに取組んできました。これからは地に足をつけて、どっしりした男役になれるよう、さらに自分を磨いていきたいと思います」
 舞台で見る男役の魅力とは別に、ゆったりした口調で話す素顔の遼河はるひさんは、特別、優雅な雰囲気に包まれていて、思わず魅入られてしまうほどだ。

長身揃いの宙組の中でも174センチある彼女は、それだけでも目立つ存在。しかも子どもの頃から習っていた日舞は名取、という強みがある。世界のブランドである宝塚歌劇百周年に向けて、大きな期待がかかる宙組の若手スター、なくてはならない戦力の一人だ。

6月21日まで宝塚大劇場で上演している宙組公演『ファントム』で、遼河はるひさんが演じているのはオペラ座の団員でダンサーのリシャール。

「『ファントム』の登場人物は全員、舞台関係者なので、ストレートに心に感じることが多いです。私自身、小さい頃から「オペラ座の怪人」を観ていたくらいミュージカルが大好きで、誘われて観た宝塚歌劇に一回で嵌ってしまって、ここに入ろうと決めましたので、宝塚で『ファントム』に出られること自体が楽しくて幸せです」

ガストン・ルルーの小説「オペラ座の怪人」は1920年代から映画や劇、ミュージカルに取り上げられてきた。その中から今回はファントムの生い立ちと心の葛藤を深く描いて高い評価を得ているアーサー・コピット&モーリー・イエストン版をもとに、宝塚歌劇らしくロマンチックな色合いを強めている。さらにモーリー・イエストン自身の作曲による新曲もあり、「僕の悲劇を聞いてくれ」と、ファントムがプロローグで歌い出すのだ。

 

次へ