遼河はるひさんにとって一本物のミュージカル出演は、下級生だった月組時代の『WESTSIDE STORY』以来。今回はオペラ座の演目毎にさまざまな役で出てきて、「カルメン」の場面ではエスカミリオ役で魅了する。
「大劇場公演に続いて7月17日から東京宝塚劇場公演が始まります。東京公演のお稽古日数が少ないので、エネルギーを持続させなければなりません。その間にTCAもあり、ありがたいことにすごく忙しい一年になりそうです。もともとのんびりするのが嫌いな性格なので、これから自分に何ができるかと楽しみですね」
今年の宙組の大劇場公演は『ファントム』一つ。そして今年の宝塚の海外ミュージカルも『ファントム』だけ。宝塚歌劇90周年を代表する海外ミュージカル『ファントム』に賭ける遼河はるひさんの思いは、すごく熱い。
「私たちの学年は初舞台の月組公演『CAN−CAN』で、ラインダンスのほかに銀橋でも踊らせていただきました。その月組に配属になり、自分がもっている力以上のものを要求されるダンス場面に出させていただき、苦手意識のあったダンスをのばしていただきました。新東京宝塚劇場柿落し公演を最後に宙組に移籍しましたが、舞台稽古の前日に電話で組替えの連絡を受けた時は、これまでのことが走馬灯のように甦り、ひそかに泣きました。でも組替えは一つの区切り。前を見てがんばろうと、すぐに気持ちを切り替えました」
その翌年、ついに『鳳凰伝』のカラフ役で新人公演初主演。2003年には、バウ・ワークショップ『春ふたたび』の主役・藤原道忠に続き、全国ツアー『鳳凰伝』の盗賊タン、大劇場公演『白昼の稲妻』の劇団員ジャンを色鮮やかに演じた。
「昨年は樹里咲穂さんのコンサートにも出演させていただき、休みがほとんどなかったのですが、いろんなことをさせていただけるのは勉強になります。宝塚に入って最も辛かったのは『愛のソナタ』の新人公演でオックス男爵を演じた時です。新東京宝塚劇場の柿落し公演で東京初演。しかも新劇場のお稽古場がまだ使えなくて遠い場所を借りての稽古。それに何よりオックス男爵は本役さんがやるからおもしろいという、本役さんの個性と演技力で一つの強烈なスタイルができていたので、自分がどうやればいいのかわからなかった。舞台稽古が終わってから楽屋で泣きました。ふだんは怒られても泣きませんが、その時ばかりは、できない自分が悔しくて」
そういう時でも幕が上がるのが、ナマの舞台の厳しさだ。
「そうですね。自分の中でまとまらない部分があり、もう一度、台本を最初から読み直して本番に臨みました」
そんな新人時代があって今がある。
「品が良く、立っているだけでオーラのある男役を目指します。大好きな日舞は昨年の舞踊会で踊っただけなので、大劇場で日本物をさせていただくのが夢なんです」
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インタビュアー 名取千里(なとり ちさと)
(ティーオーエー、日本広報学会会員/現代文化研究会事務局 /宝塚NPOセンター理事
主な編著書
「タカラヅカ・フェニックス」 (あさひ高速印刷)
「タカラヅカ・ベルエポック」(神戸新聞総合出版センター)
「仕事も!結婚も!」(恒友出版) |
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