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-バックナンバー- 20006年8月号
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フェアリーインタビュー

タカラヅカには女性が男役を演じる確かな意味がある

新生花組披露公演『ファントム』で、オペラ歌手を目指す純真な少女・クリスティーヌを演じているのが、桜乃彩音さんだ。
 花組トップスター春野寿美礼の新しい相手役である。そのクリスティーヌの、なんと愛らしいこと!
 
6月23日の宝塚大劇場公演初日を前に、「もうあと何日もないと考えると、不安と緊張でドキドキしますが、大丈夫、1週間あれば何十時間も使える、と自分に言い聞かせています」と高揚した面持ちで話していた。
 
入団5年目の大抜擢。しかも全編歌で綴った大作ミュージカル『ファントム』のヒロインで、本拠地・宝塚大劇場でのお披露目を迎える。稽古期間中は毎晩のように、初日の夢を見たという。そんな重圧の真っ只中でも、桜乃彩音さんの素顔は、ハッとするほど美しかった。
 
そして本番。
 
紹介状を持ってオペラ座の楽屋口に向かうクリスティーヌの桜乃彩音さんは、赤いパラソルをさして銀橋を渡る。その赤色は、楽譜売りの少女の胸いっぱいの喜びと希望の色である。だが文化大臣を買収したらしい新支配人を夫にもつプリマドンナのカルロッタが、クリスティーヌを自分の衣装係にしてしまう。それでも、オペラ座にいられるだけで幸せ、と胸を躍らせるクリスティーヌ。クリスティーヌの天使のように清らかな歌声を聞いたファントムは、ただ一人自分を愛してくれた母の歌声を思い出し、クリスティーヌに歌の指導を申し出るのだった。
「先生」
 
仮面で顔を隠したファントムに呼びかけるクリスティーヌの、信頼感溢れる純真な声。それは学年の離れた上級生であり、経験豊かなトップスターで宝塚歌劇団きっての歌い手である春野寿美礼に寄せる、新ヒロイン桜乃彩音の信頼感に重なる。そんなことを想像しながら舞台を観るのは、ファンだけが味わえるタカラヅカ観劇の醍醐味だろう。

「母は小さい頃クラシックバレエに憧れたようで、自分が習えなかったかわりに私に習わせてくれました。でも歌やお芝居は音楽学校に入ってから勉強しましたので、いつでもどんなときでも、まだできない、もっとお稽古しなければ、と。人一倍時間をかけて努力しなければという気持ちで今までずっとやってきました」
 
苦手意識がぬぐえなかった歌。稽古が始まった頃はまだ、毎回、ドキドキしながら歌っていた。すると春野寿美礼から、「発声やポジションはもう体に染み付いているのだから、いったん忘れて、気持ちで歌ったほうがいいよ」とアドバイスをもらった。
「それからやっと、楽しいなと思いながら歌えるようになりました」


あやぶきまお・1994年『火の鳥』で初舞台。翌年雪組に配属。98年10月に花組に組替え。2000年『源氏物語あさきゆめみし』新人公演の光源氏役で初主演。01年バウ・ホール公演『月の燈影』で蘭寿とむと共にバウ初主演。04年『NAKEDCITY』でバウ公演単独初主演。

大阪府出身/愛称・ゆみこ


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