宙組の水夏希さんが、1月1日に宝塚大劇場で幕を上げる新春公演『ホテルステラマリス』『レヴュー伝説』の稽古に加わったのは、16日の集合日から1週間後の11月22日だった。前日の21日まで花組の東京宝塚劇場公演に特別出演していた。
04年は宝塚歌劇90周年記念の一環として、各組の準主演スターたちが他組に参加した。水夏希さんも雪組の中日劇場公演『RomancedeParis』『レ・コラージュ』に始まり、雪組宝塚大劇場公演『スサノオ』『タカラヅカ・グローリー!』、同東京宝塚劇場公演、花組宝塚大劇場公演『Laラ・Espエスペeranzaランサ』『TAKARAZUKA舞夢!』、同東京宝塚劇場公演に特出してきた。
「いつもとちがう環境に入るということは、自分の中の新しい扉を開ける感じで、すごく刺激的でした。あっという間に月日が経って、このたび約1年ぶりに宙組全員がそろいます」
そのミュージカル『ホテルステラマリス』での水夏希さんの役は、再建の道を模索しているホテルの支配人アレン・ケンドール。婚約者で、トップ娘役の花總まり演じるオーナーの娘ステイシーが、トップスター和央ようかが扮するエリートビジネスマンのウィリアムを愛するようになり、アレンは身を引くことに。
「つまり振られちゃうんですが、アレンには幼馴染みのステイシーにとって何が幸せかということがよく見えているんだと思います。ステイシーと一緒にいたいという自分の思いを通すより、愛する人に幸せでいてほしいという、人間としての大きな心を、アレンはもっている。『人間の大きさを出したい』って言葉で言うのは簡単ですが、それを表現するのは至難の技です。例えば緊張しないためには、自分をよく見せようと思わないとか、自分がやってきたことに自信をもつとか、いろいろな方法がある中で、何よりもいいのは経験を積むことなんだそうです。同じように、人間の大きさや懐の深さというのも、その人の経験が重要だと思います。そういう意味でも特別出演させていただいたことは良かったですね。その最中はドリルをどんどんこなしていくだけのような慌ただしさで余裕がありませんでしたが、これからじっくり中身を整理して舞台に生かしていきたいと思います」
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