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-バックナンバー- 2005年2月号
役を演じるのではなく、この役である、というところを目指してやっていきたい、と2年半前の取材で話してくれた水夏希さん。今、水夏希さんの話す口調にはグッと力強さが加わって、最近の充実度が伝わってくる。

ところで、『ホテルステラマリス』は正塚晴彦氏のオリジナル作品だ。「04年は私にとって、正塚先生イヤーでしたが、05年のスタートも正塚先生」と水夏希さんが話す通り『Romance de Paris』も『La・Esperanza』も正塚作品だった。1年半の間に3作も、一人の演出家のオリジナル作品に出演するという巡り合わせは、他組に特別出演でもしないかぎり、組子にとっては、まず起こりえない。

「正塚作品では、演じるというよりも自分と役をリンクさせていきました。その結果、役の人物として生き続けることに挑戦できたと思います。今回は新たに違う人物を演じるわけですから、また1から自分の中に情報をためていくところからのスタートですね。レヴューの方でも、新しい自分を模索しているんですよ」

草野旦作・演出『レヴュー伝説』は、モン・パリ誕生77周年記念レヴュー。『モン・パリ』は日本で初めて上演されたレヴューとしてよく知られているが、その主人公、つまり、もうこの世を去って久しいクシダ氏が、星の国でレヴューを創ろうとするところから『レヴュー伝説』は始まる。

「通し役なので、お芝居を一本、組み立てて稽古していくのと同じような作業です。しかもグラン・ファンタジーとタイトルについているくらい、ものすごくファンタジックで、花總さん以外は全員レヴュー星人。ある意味宙組にピッタリですね。この機会に自分らしいファンタジーカラーを見つけたいなと思っています」

水夏希さんは月組から花組に移籍後の1997年、あの『ザッツ・レビュー』に出演している。植田紳爾作・演出『ザッツ・レビュー』は、『モン・パリ』の主題歌が日本中で歌われていた東京宝塚劇場開場前後を描いた作品。本公演で組仲間の弥太役、新人公演では準主役の大河原亮役だった。宝塚レヴューをテーマにした2大作品との巡り合わせは、水夏希さんの運の強さだろう。

最後に、やはり水夏希さんと言えば、03年8月、宝塚バウホールと日本青年館大ホールで主演した『里見八犬伝』が忘れられない。99年のバウ初主演ロミオ役に続き、センセーションを巻き起こした、親兵衛!

「この間、初めてビデオを見て、もっとこうできたのにと。でも、それでいいのかなと思います。作品そのものよりも、作品に取り組んだ自分を思い出します。下級生中心の舞台で、相手役が初めての大役だったし、いろいろ大変だったけれども、あの舞台があるから今がある。そう思います。これからも挑戦していきたいです」

観客にとって、タカラヅカはファンタジーだ。百周年への大事な第一歩を水夏希さんは確実に踏み出した。

※次号のフェアリーインタビューは、月組の月船さららさんの予定です。


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インタビュアー  名取千里(なとり ちさと)  
 (ティーオーエー、日本広報学会会員/現代文化研究会事務局 /宝塚NPOセンター理事  

主な編著書   
「タカラヅカ・フェニックス」 (あさひ高速印刷)   
「タカラヅカ・ベルエポック」(神戸新聞総合出版センター)  
 「仕事も!結婚も!」(恒友出版)