バックナンバーへ|TOP
-バックナンバー- 2004年9月号

猛暑の中で激しい稽古が続いた。花組によるミュージカル・ロマン『La Esperanza』〜いつか叶う〜と、レビュー・ファンタジア『TAKARAZUKA舞夢マイム!』は、宝塚大劇場で8月13日から9月27日まで上演中だ。トップスター春野寿美礼さんの、4度目の宝塚大劇場公演である。

もうごらんになった方も多いと思うが大阪梅田の阪急百貨店前の巨大円柱に描かれた公演ポスターの美しさは、一瞬、うだるような暑さを忘れさせてくれる。「メイクは自分でしましたが、いつもと全く違うように描いています。髪もカツラ。だから雰囲気がすっかり変わっていますよね。レビューでの私の役が全知全能の神ゼウスなので、人間ではない、あやしさと色っぽさが出るよう、色づかいも赤紫系を使いました」 ゼウスは恋多き神なのだ。

ポスターをよく見ると、顔以外は手も衣装も背景も絵。そのためか、現実と夢の世界の境界がユラリと揺れて、ギリシャ神話の英雄ゼウスの愛の世界に否応なく誘い込まれる不思議さに満ちている。オリンピック・イヤーに放つ、この心憎いレビューは、藤井大介氏の作・演出。花組と藤井作品といえば、あの『Cocktail』がある。春野寿美礼さんが2002年5月に東京宝塚劇場でトップの代役をつとめ、同年8月の博多座でトップ就任後初公演し、2003年10月からの全国ツアーでも歌って踊った『Cocktail』。

「90周年幕開けの『アプローズ・タカラヅカ!』が3人の先生の競作でしたが、藤井先生はそのお一人で、またお世話になりました。おかげで何でも相談できる間柄になりましたね(笑)。ゼウスはすごく浮気者の神様です。プロローグとトロイア戦争のシーン以外は軽いタッチのコミカルな場面が続くので、残暑の中でも思い切り楽しんでいただけると思います」

 

次へ