バックナンバーへ|TOP
-バックナンバー- 2004年5月号

4月公演恒例の初舞台生によるラインダンスは、通常40人前後。宝塚歌劇90周年の今年は、それに加えて倍以上の90人による大ラインダンスが特別に企画された。これだけのスケールは今、世界中を探しても宝塚歌劇でしか観られないが、その宝塚歌劇の中でも滅多に観ることのできない感動的なシーンである。

入団9年目の壮一帆さんが加わったラインダンスなんて、次はいつ観られるかわからない。

「研6までラインダンスに出ていましたので、男役の中では長い間、させていただいた方です。ラインダンスはすべての生徒のスタート、原点です。今回は初舞台生と一緒なので、引っ張っていかなければならない大変さがありますが、初舞台生のフレッシュさに負けないように、そしてただのラインダンスではなく90周年記念のレビューの、一つの独立したナンバーとしてお見せできるように、きっちり踊りたいと思います」

フォーメーションが次々変わるので、自分の位置を責任を持って覚えることがコツだそうだ。意外に難しいのが一列に並ぶこと。一人の僅かなズレが、90倍の大きなズレになる。

「やはり一度でも舞台に立っている人はそれなりに見せ方というものを身につけていて、研2以上と初舞台生とでは力量に開きがありますが、それぞれに刺激を受けながら楽しく踊っています」

詩劇『スサノオ』と共に5月10日まで宝塚大劇場で上演中のグランド・レビュー『タカラヅカ・グローリー』では、もう一つ、壮一帆さんにとって本当に久しぶりなことがある。

大階段で踊る、黒燕尾を着た男役のダンスだ。

「花組にいた研2のとき、代役ですが東京公演で躍らせていただいたことがあります。それ以来なので、うれしいですね」

男役だけのダンス・ナンバーに入るー、それが入団した時の壮一帆さんの目標だった。「最下級生だったので大階段の1番上で足をガクガクさせながら踊りました」

今回は主要戦力の一人として、最前列で踊っている。

「あの時、男役はどのように踊るかということを、気持ちを中心に教えてもらいました。それは今の私の男役の踊りに通じています。黒燕尾でのダンスはどの組も踊る共通のもの。だからこそ雪組でしか出せないカラーで、雪組にしかできないものをお見せしたい。私なりに少しでも下級生に教えていきたいと思います」

 

次へ