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-バックナンバー- 2004年5月号

2001年8月、花組から雪組に移籍した壮一帆さんが実感したのは、組ごとに独特のカラーがあること。

「一つの劇団だけれども、組のカラーの違いを楽しみに観に来られるお客様がいらっしゃる。宝塚歌劇の奥深さではないでしょうか。雪組は一言で言うと、人が人間っぽいんです。芝居の雪組と言われてきたのは、こういうことかもしれない、私なりに感じたことを吸収していこうと思いました」

その年、『愛 燃える』の新人公演で初主演した壮一帆さんは、翌2002年5月『追憶のバルセロナ』の新人公演でも主演。バウホール公演『ホップ スコッチ』に3人で主演すると、03年『春麗の淡き光に』の源頼信、バウワークショップ『春ふたたび』の藤原道忠、『Romance de Paris』のディディエなどを演じて実力をつけ、今年、90周年初の宝塚バウホール公演『送られなかった手紙』でバウ単独初主演を果たした。

「芯に立つというのはどういうことかを教えていただいた舞台でした。誰一人欠けてもいけないのに東京公演でインフルエンザが流行り、休演者が続出して代役公演を続けるしかなかったのですが、全員が揃ったときにお客様があたたかい拍手をくださり、改めて宝塚に入った幸せを感じました。技術的にもメンタル的にもたくさんのことを吸収できた公演でしたので、完全燃焼に近いものがあり、2日間の休みは腑抜け状態ですごしました」

バウホールでの主演経験が大劇場公演につながって、詩劇『スサノオ』でも狂言回し的な月読という役で幕開けに登場して歌う活躍ぶりである。

「宝塚に入って友達のタイプが変わりました。小・中・高と同じ学校だったので気の合う人とだけ付き合っていて、いわゆる温室育ちでした。音楽学校で同期と出会い、一生つき合っていく仲間だと改めて客観的に見た時に、まさに40人40色、見たこともないタイプの人がいっぱいいて、こういう考え方もあるんだと新たに発見できることがおもしろくなり、それからですね、何か自分にないものをもっている人たちと積極的に喋るようになったんです。宝塚に入ったことで、舞台以外にも友達のタイプの幅が広がったことは自分の人生の財産だと思っています」

来年、男役10周年を迎える壮一帆さん。

「包容力のある男役が理想。娘役さんと二人でつくりだすオーラを大切にしたいです。お客様をオーラで包み込めるような男役を目指します」

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インタビュアー  名取千里(なとり ちさと)  
 (ティーオーエー、日本広報学会会員/現代文化研究会事務局 /宝塚NPOセンター理事  

主な編著書   
「タカラヅカ・フェニックス」 (あさひ高速印刷)   
「タカラヅカ・ベルエポック」(神戸新聞総合出版センター)  
 「仕事も!結婚も!」(恒友出版)