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-バックナンバー- 2003年5月号

コシノ―むつかしくはありません。 表現は洋服のデザインだけではなく、 アクセサリーの使い方や着こなしなど、 コーディネートでどんな風にもできます。 手持ちはいっぱいあるから、 選んでいけばいい。 逆にポスターは神経を使いました。 限られたスペースの中で全てが感じ取れるものでなくちゃいけない。 シンプルすぎても宝塚らしくないし、 装飾しすぎてもファッショナブルでなくなってしまう。 どの程度知的に新しい宝塚を表現するか、 そして植田さんが考えるドン・ファンの、 魅力をどう表現するか。 ポスターは盗まれるくらい完璧なものでなくては、 と思いますね。
名取―そして劇場にはナマの舞台でしか味わえない興奮が求められますが。
植田―躍動感が舞台の魅力です。 何が起こってもその場で勝負ができるテンションを役者が保っている、 その空気感というのでしょうか。 だから私は完成した舞台よりも生きている舞台を創りたいと常に思っています。
コシノ―女の仕事には女性が共鳴できるようなきめこまやかさがあります。 それがきっちり出てくると、 お芝居を観る以上の楽しみをプラスして持って帰っていただける。 たとえば、 あんなアクセサリーの使い方をしてみよう、 あんな雰囲気で行動してみようと、 いろんな刺激を受けて意欲が湧き出るような舞台になってほしいですね。 ファッションショーもナマで見ると、 お客様が感動して泣いていらっしゃる。 それは衣装プラス音楽の新しさ、 モデルの美しさ、 そして照明と演出の総合芸術だからです。 でもファッションショーは1年に2回だけ、 しかも1回に1500人しか見られません。 今回は私にとってファッションショーをやるようなものだから、 私のファンは押しかけるのではないかと思いますよ。
植田―ファッション界にしかないものが宝塚歌劇で見られるというのは、 演劇界としても貴重な機会です。 私自身、 仕事ぬきでワクワクしている部分があって、 それは出演者も同じ。 すごく気合が入っています。
名取―最新のファッションと宝塚歌劇のパートナーシップは、 90周年に向けたパワーとなることでしょう。 ありがとうざいました。

 

 

インタビュアー
 名取千里(なとり ちさと)

  (ティーオーエー、日本広報学会会員/現代文化研究会事務局
  /宝塚NPOセンター理事
  主な編著書
  「タカラヅカ・フェニックス」 (あさひ高速印刷)
  「タカラヅカ・ベルエポック」(神戸新聞総合出版センター)
  「仕事も!結婚も!」(恒友出版)

コシノヒロコ プロフィール

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