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-バックナンバー- 2002年9月号

 打てば響くというべきか、 取材のたびに感じてきた水夏希さんの率直さは、 入団10年目を迎えて少しもかわっていない。 その一方で 「こんなことが記事になるのかな」 と独り言のように呟くのも水夏希さんらしさなのだ。
 自分の内面を深く掘り下げる繊細さと、 全体の中の自分を見据える視野の広さが、 水夏希さんの魅力だ。
  「楽しいですよ、 男役は。 私は舞台以外で男性のように脚を広げてすわったりしてしまう事も時々ありますが (笑)、 日常生活でそういう態度の人がいたら、 女性としてどうかなと疑問に思いますよね。 男役の芸として演じるから楽しいんです」
 昨年末、 宝塚大劇場でスタートした 『カステル・ミラージュ』 『ダンシング・スピリット!』 は、 東京宝塚劇場に続いて全国ツアーも行なわれた。 水夏希さんは7ヶ月間続けてジョー・ガーナー役を演じた。
『台詞も状況も完璧に頭に入っているという安心感を持つと、 集中力を欠いてしまうことがあります。 トップスターの和央ようかさんとトップ娘役の花總まりさんが毎日、 新しい気持ちで芝居をしていらっしゃるのを肌で感じながら舞台に立てたことが、 すごく勉強になりました。 宙組は発足してまだ5年しか経っていませんが、 組の個性はすごくあります。 宙組の体育会系のノリの良さは私になかった勢いですが、 花組時代は男役の美学を下級生に至るまで感じたので、 それは下級生に教えてあげたい。 全員が黒エンビ姿に特別のプライドを持っていて、 いいなあと思いましたね。 私は性格的に放っておけないタイプで、 言いにくいこともズバッと言ってしまうから、 傷つく人もいるかもしれません。 でも言うべきことはこれからも言うようにしたい。 舞台についてもまず自分がやりたいようにやって、 そういう勇気を持ちたいと思っています。 自分を含めて周りが輝くことで、 トップさんが、 宙組がもっと輝く、 そんな相乗効果をねらっていきたいですね」
 8月に開催する初めてのディナーショーの稽古が佳境を迎えた。 テーマは魂の 「ソウル」 だ。 「魂が浄化するために試練を受けて生きていく。 そんな思いをテーマに、 繊細な魂と力強い魂の両方を観ていただきたいなと思っています」

インタビュアー
 名取千里(なとり ちさと)

  (ティーオーエー、日本広報学会会員/現代文化研究会事務局
  /宝塚NPOセンター理事
  主な編著書
  「タカラヅカ・フェニックス」 (あさひ高速印刷)
  「タカラヅカ・ベルエポック」(神戸新聞総合出版センター)
  「仕事も!結婚も!」(恒友出版)
 
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