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-バックナンバー- 2002年2月号

 「宝塚大劇場公演『ガイズ&ドールズ』で、私は幕が上がって一番最初に声を出すんですよ。これは縁起がいい、頑張ってよい1年にしよう、と燃えています」
 入団11年目を迎えた月組の大空祐飛さんは、そう言いながら軽やかに微笑んでいる。
 大空祐飛さんに初めて取材したのは、4年前だった。その頃、大空祐飛さんは新人公演に主演後、大阪梅田のシアタードラマシティ公演『ブエノスアイレスの風』に出演していた。「私は宝塚の中では珍しいマイペース型人間。自分のペースでゆっくり着々といけたらいいなと思うんです」と話ながら、キリッとした表情をほとんど崩さなかった。舞台では凛々しい男役でも、素顔は本来の女性らしい笑顔がのぞく人が多い。そんな中で大空祐飛さんの様子は、自分は宝塚の男役です、とあえて主張している風に見えて特別、印象に残った。大空さん自身は、「ちょっとぶっきらぼうで」と自己分析していたから、とりたてて男役を意識していたわけではなかったのかもしれないが、とにかく素顔も男役っぽい魅力に包まれた人なのだった。
 そんな大空祐飛さんが今、目の前で軽やかに微笑んでいるのだ。これはなにより、あれから更に舞台活動が充実している証拠だろう。
 昨年は宝塚バウホール公演『血と砂』の主演、大空祐飛ディナーショーと、新しい成果を積み上げた。
 「バウホール主演のお話を頂いた時は、少人数でたっぷりお芝居がしたいと思っていた頃だったので、ダブル主演でしたが本当にうれしくて、ありがとうございます、10年頑張ってきてよかったです、と言いました。演出家の斎藤吉正先生が私に当てて書いてくださった人物なので、義賊で屈折した男の役ですが、テーマは愛だし、根底にある人間としての気持ちがわかりすぎて辛い
くらいでした。それだけに愛着があり、これまでの作品の中でも特に思い出に残るものです。ディナーショーはお芝居ともレビューともちがって100%、大空祐飛が出せる。そのかわり一人でうめなきゃいけない時間が長いので大変かなと思ったのですが、やってみると私を見に来て下さった方々の視線を肌で感じることができて自由にのびのびできた。すごく新しい発見でしたね。内容については斎藤先生も、折角の機会だからやりたいことをやってみたらと言ってくださったので、今の大空祐飛の全てを見ていただきたい、あれもこれもやりたいとお願いしたら、ほぼ全部、受け止めて下さって。やりたいと思った事を全部させていただいたことも、私自身がディナーショーを楽しめた理由の一つです。もう一つには10年目だったこと。私は自分に自信がないと御客様の前に立てないと思う

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