正統派2枚目役のトップに対して、色の濃い敵役を務めることが多かった紫吹淳さんだが、中でも98年9月「黒い瞳」のコサック首謀者プガチョフの人間性溢れる凄みは忘れられない。1月に宙組が発足して1組の人数が減っていたが、下級生を導いてトップを支え、8月にはシアタードラマシティ公演「ブエノスアイレスの風」で主演も果たしていた。
宝塚屈指のスターダンサー紫吹淳さんは、海外公演での活躍も多い。89年、ニューヨーク公演に最下級生で参加。94年のロンドン公演には同期生3人で3番手を務めた。99年には中国公演を準トップの立場で成功に導き、2000年6月、新専科に移籍後のドイツ・ベルリン公演では各組選抜メンバーを率いてトップの重責を果たした。
「ベルリン公演でのトップ経験がなかったら、このたびのトップ披露公演はもっと緊張していたかもしれません」
実は月組トップ就任後の初舞台は東京宝塚劇場公演「大海賊」「ジャズマニア」なのだが、これは全国ツアーを行なっただけで宝塚大劇場には来ていない。本拠地の大劇場でのお披露目公演が、
元旦に幕が上がる「ガイズ&ドールズ」なのだ。
「トップの真琴つばささんには下級生時代、花組で同じトップの方を見て育ったという共通点もあり、私の個性を生かしてもらえたから、真琴さんと舞台の上で絡み合いができたんです。『愛のソナタ』のアドリブも全く打ち合わせなしで、舞台でいきなり、そう出ればこう出るという状況でやりました。今後は私が月組のみんなを生かしていける様になりたいですね。宝塚のフレームは壊さずに、受け継いだすばらしい伝統を伝えて行きたいと思います」
フィナーレの大階段を最後に下りるときが、トップであることを実感する瞬間だという。みんながいて自分がいる、その思いが胸に満ちてくるから。
インタビュアー
名取千里(なとり ちさと)
(ティーオーエー、日本広報学会会員/現代文化研究会事務局
/宝塚NPOセンター理事
主な編著書
「タカラヅカ・フェニックス」 (あさひ高速印刷)
「タカラヅカ・ベルエポック」(神戸新聞総合出版センター)
「仕事も!結婚も!」(恒友出版) |
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