21世紀の
『ベルサイユのばら2001』 が、 東西の宝塚歌劇専用劇場で同時上演中だ。
宝塚大劇場は、 宙組が第87期初舞台生を迎えて 「フェルゼンとマリー・アントワネット編」、
そして今年1月1日にオープンしたばかりの新東京宝塚劇場は、 星組トップスターの退団公演
「オスカルとアンドレ編」 で、 新世紀最初の春を迎えている。
20世紀最後の 『ベルサイユのばら』 が幕を閉じたのは、 1991年7月31日だった。
それから10年。 現在の宝塚大劇場も1993年に新しく建て替えられた新劇場なので、
この宝塚歌劇最高の名作 『ベルサイユのばら』 が上演されるのは、 両劇場とも今回が初めてのことになる。
1974年の初演、 15年後の再演、 そして今年の再再演。 あの、 全身が鳥肌立つような期待感、
怒濤のような拍手、 絶え間なく漏れる熱い溜め息―出演者もスタッフも観客も、
関係するすべての人たちを虜にしてきた 『ベルサイユのばら』 が、 新しいホームシアターを得て、
三たび、 幕を上げたのだ。
「初舞台が1990年の花組 『ベルサイユのばら』 です。 1年間、 いろんな組に出演したあと、
月組に配属になり、 新人公演でいきなりアンドレを演じることになって。
東京公演の第一部だけでしたが、 今、 考えても怖いくらい、 何もかもが初めてのことだらけで何もわかっていなかった。
ブーツをはいたことも、 サーベルを使ったこともなく、 マントさばきなんてとんでもない。
初めていただいた役が大役のアンドレだから、 配役発表の日、 先に香盤を見た人から
『さえちゃん、 アンドレだ』 と言われて 『エッ、 ウソッ』 と聞き返したのをはっきりと覚えています」
宙組公演のオスカルとアンドレを水夏希と交替 (4/6〜4/27オスカル・水 アンドレ・彩
輝 4/28〜5/14オスカル・彩輝 アンドレ・水) で演じる新専科の彩
輝直さん。 彼女にとって 『ベルサイユのばら』 は、 特別な思い入れのある作品なのだ。
研2時代に演じたアンドレ役は、 ただただ必死で、 最後までやり遂げることだけしか考えられなかったというが、
研12になった今、 彩輝直さんは宝塚きってのオスカル役者、 と大きな期待を集めている。
「どんな作品で、 何が起こるか、 すでにお客様がよくご存じ。 自分も出演して、
わかったつもりでいる。 でも、 お芝居も音楽も桁外れに大きくて深いんです。
曲が始まった瞬間に、 誰の胸にもイメージがはっきりと浮かび上がる。
演じる者にとっては非常にプレッシャーがかかります。 お稽古が始まった頃、
『ベルばら』 の話をするだけで手に汗にぎるほど緊張していました。
それは自分にとって本当に大切な作品だから。 オスカルもアンドレも1幕で死に、
私自身も燃えつきる。 あとはフィナーレに出るだけ。 その限られた時間の中で、
存在の深さを出していかなければ。 お客様の思いにお応えできるオスカルでありアンドレでありたいと思っています」
|