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-バックナンバー- 20001年11月号

「明智光秀と、影武者の妻木幸四郎と、旅の雲水の三役に挑戦しました。舞台の袖に入ると急いで着替えて、また舞台に走り出るというくり返しで、例えば二部では鎧を着て出たのですが、着物を着るだけでも洋物より時間がかかります。一部の幕が下りて楽屋に戻り5分後にはもう着付けを始めていたという状態で、全く息をつく間もなく、1日があっというまに過ぎていきましたね。下級生もよく手伝ってくれたし、上級生の方々には日本物の所作や決まりごとをたくさん教えていただきました。 毎日必死でしたが、 とても充実していました」
 作・演出の谷正純氏はプログラムにこう書いている。「芝居」が役者を作り「レビュー」が大きくすると言われる世界、この作品で貴城けいを役者として大成させたいと、敢えて難役を与えた、と。
 役者として苦しんだだけ、収穫も多いはずである。
「これまで情熱的な役はやっていないんですよね。たまたま機会が回ってこなかっただけでしょうが、これからは、させていただけるならどんな役でもやっていきたい。轟悠さんのそばにいられる今のうちに、男役の芸を盗めるだけ盗みたいんです。轟悠さんがスターとしてあまりに大きすぎるので、私にはとても盗み切れないけれど、目に焼きついていることがすごく多いんですよ。基本的なことで言えば歩き方とか手を出す仕種、目線の使い方など、ちょっとしたことですが、それが1番むつかしいと思います。盗んだ上で早く自分なりの男役像を完成させていきたいですね」
 すでにエスプリ・コンサート、ディナーショー、海外公演も体験済み。同期生も減った。
「新しい環境では感じ方も変わって来ると思います。新たな気持ちを大切に、自分自身をしっかりと持ってやっていきたいなと思います」
 来年の抱負がスラスラと出てきた。

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