バックナンバーへ|TOP
-バックナンバー- 20006年6月号
""

フェアリーインタビュー

 そんな大空祐飛さんは、6月19日まで宝塚大劇場に出演中。ロック・オペラ『暁のローマ』−「ジュリアス・シーザー」より−で演じているのが、古代ローマの政治家カシウス。カエサル暗殺首謀者の一人だが、クールである一方で、ブルータスのために命を賭ける熱い心の持ち主として描かれている。

「ローマという国を動かしていこうとしている知的な青年たちが、野心と友情のために、結果的にはカエサル暗殺という歴史的な事件を起こす。古代ローマの荒々しさ、激しさを、ロックという攻撃性のある音楽で、お客様の心にがんがん伝えていければ。全編が音楽で進行するミュージカルなので、テンポがよく、深いテーマも重過ぎることなく心に刻むことができるのではないでしょうか。専科の轟悠さんがカエサル役で出演されていて、本当に学ばせていただくことが多く、幸せなことだと感じています」

 レビュー『レ・ビジュー・ブリアン』−きらめく宝石の詩―では、プロローグからエメラルドの男で登場する。中詰の、エメラルドの男女を中心としたダンス場面では、大空祐飛さんの神秘的な一面にスポットが当たる。
「私の土台はタカラヅカが大好きという思い。下級生によく話すのは、不器用でも構わない、でも成長できる才能だけは必要だということ。それは常にアンテナを張って、自分に何が足りないかを知ることだと思います。素直な人はそれだけでいろんなことを吸収できます。それから傷ついても落ち込んでも逃げないこと。私は、逃げないという強さだけはあったから、この学年まで続けられたのかなと思います。逃げる道を思いつかないのが不器用なところであり、よかったところでもありますね。いつも正面からぶつかっていくしかなかったですから」

 雑誌『歌劇』に大空祐飛さんが、興味深いことを書いていた。劇団のとある場所に、「ブスの25箇条」というものが貼ってあり、たとえば、お礼を言わない、おいしいと言わない、希望や信念がない、自信がない、いつも周囲が悪いと思っている、何でもないことに傷つく、他人に尽くさない、責任転嫁がうまい、声が小さくいじけているなど。

 どれもドキッとすることばかりだと伝えると、「あれは誰かが冗談で貼ったのだと思います。でも当たっていますよね。ただ、すごくナイーブで、あまり明るくない子がいたとして、そういう子が人とちがうすばらしい才能をもっていたりする。だから私は軽いノリで書きました。真面目に受け止めすぎると、当たっている一面もあるだけに、辛くなる人がいるかもしれない」

 フォローが利いた。心の闇が、ポッと赤く染まる。

ビョルン役を演じる十輝いりすさん



※次号のフェアリーインタビューは、花組の彩吹真央さんの予定です。

-トップページへ-


インタビュアー  名取千里(なとり ちさと)  
(ティーオーエー、日本広報学会会員/現代文化研究会事務局 /宝塚NPOセンター理事

主な編著書   
「タカラヅカ・フェニックス」 (あさひ高速印刷)   
「タカラヅカ・ベルエポック」(神戸新聞総合出版センター)  
「仕事も!結婚も!」(恒友出版)


ウィズたからづかはあさひ高速印刷株式会社が編集・発行しています。
(C) 2001-2005 Asahi Kosoku Printing Co.Ltd., All Rights Reserved.