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-バックナンバー- 2005年9月号

新人公演では『砂漠の黒薔薇』のシャイザ、『ベルサイユのばら2001』のジェローデル、そして『鳳凰伝』のバラクと着実に成果を積み上げ、2003年『傭兵ピエール』で新人公演初主演、続く『白昼の稲妻』でも新公主演し、現在は将来を期待され中堅スターとして活躍中だ。

「下級生時代は新人公演が占める割合が大きく、いつか新公の真ん中に立たせていただく経験ができたらいいなという思いがありました。『ベルサイユのばら2001』の新公でジェローデルをさせていただいた頃から本当にいろんな役をいただくようになり、自覚が芽生えてきたように思います。役を担う責任の大きさに気づいたのは研7の新人公演『鳳凰伝』で水夏希さんのバラク役をいただいた時です。何かやらなければと思い、できる限り劇団レッスンに出るようになりました。つまりそれまでは今思えば甘かったと思います」

そのバラクに抜擢される直前、バウ・ワークショップ『おーい春風さん』で悠未ひろさんが演じたのが洟垂れ小僧の角三だった。

「図体は大きいのにいつも泣いている角三と、盗賊の頭で激しい乱闘の末に絶命するバラクは、全く異なる役。それまでも毎回苦しみ、もがいてきたのですが、この時に本当に心の底から、やらなきゃ、と思ったのが、今の私の原点ですね。それからは、お客様に伝えることが仕事なのだと、お客様の目を意識するようになりました」

2005年1月『ホテル ステラマリス』でのリンドン役で見せた存在感の大きさは記憶に新しいが、6月には宝塚バウホール公演『Le Petit Jardin』に初主演した。

「怖いもの知らずのパワーがあった下級生時代を過ぎると、舞台の怖さが分かってきて、小さくなってしまうことがあります。バウで主演させていただいた時に、その怖さを乗り越えて自分を出す力が掴めたように感じました。心から舞台を楽しめた、この経験を今度は大劇場でどのように出せるか、自分でも楽しみです」

9月19日まで宙組宝塚大劇場公演『炎にくちづけを』『ネオ・ヴォヤージュ』に出演中だ。「歌がすごく好きなんです。でも舞台に立ったときに1番難しいと思うのが歌。精神面がすぐ正直に出てしまうからこそ、歌は素敵なのだと思います」

一つ一つの言葉の中に、悠未ひろさんの確かな足跡が見えてくる。

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インタビュアー  名取千里(なとり ちさと)  
 (ティーオーエー、日本広報学会会員/現代文化研究会事務局 /宝塚NPOセンター理事  

主な編著書   
「タカラヅカ・フェニックス」 (あさひ高速印刷)   
「タカラヅカ・ベルエポック」(神戸新聞総合出版センター)  
 「仕事も!結婚も!」(恒友出版)