バックナンバーへ|TOP
-バックナンバー- 2005年7月号
 同年『花舞う長安』新人公演にも主演し05年、宝塚バウホール公演『それでも船は行く』で星組の若手14名を率いて9日間13回の公演をつとめ上げた。今年のバウ公演主演者の中で最下級生である。
「バウホールは大好きな劇場です。お客様の反応がすぐわかり、一体感を感じます。今回も初日に緊張しているところで拍手をくださったり、思わぬところで笑ってくださったりして、お客様からあたたかさをいただきました」

 スケジュールは過密をきわめる。バウ公演中、4月末の『TCAスペシャル2005』の稽古がスタートした。3月31日は5月13日初日の星組宝塚大劇場公演『長崎しぐれ坂』『ソウル・オブ・シバ!!』の稽古集合日。柚希礼音さんが主演する新人公演『長崎しぐれ坂』は31日。本公演でもストーリーに絡む通し役だから、柚希さんの稽古の量は半端ではない。それだけではない。6月6日に大劇場で開催される羽山紀代美のダンシング・リサイタルにも出演するのだ。

「とにかく一つ一つに集中する事が大事だと思っています。今回、新公で初めて轟悠さんの役をさせていただきますが、轟さんには、自由にやりなさい、その方が自分で一からつくる力が生まれるからと言っていただきました。台本に書かれていない部分を考え、膨らませていく楽しさを感じています」

若手スター・柚希礼音さんの新しい挑戦だ。本公演では、江戸無宿・伊佐次の子分で、土佐無宿者のあんぺ。大きな龍の頭を描いた着物の上にチャイナ服を羽織り、土佐弁でまくし立てる。長崎奉行でさえ手出しのできない治外法権の「異国」の住人のあやしさが、客席まで薫ってくる。一方、新公で演じる主役・伊佐次は、粋な江戸っ子。幼なじみのおしまと出会ったことから、望郷の念を募らせて、とうとう囲いの外へ出てしまう。伊佐治を助けたい一心の、長崎奉行所の下っぱ・卯之助が絡み、三人三様の思いが精霊流しの夜に行き場を失うー。

「毎日、公演できることがすごく勉強になっています。ライブだから体調が悪い日もありますが、そんな時に逆に新しい感情が生まれることがあります。声が出にくい時にもっと感情を込めようとして思ってもいなかった感情に出会ったり。もし宝塚に入っていなかったら、こんなに1日の吸収量が多い充実した生活は送れていないと思います」

ひと休みしたいと思う時でも、引き出しの中身を補充する方が先になる。
「家ではビデオを見ますし、映画もよく観に行きます。街に出て人も観察します。男性の歩き方、仕草、恋人同士の目とかも。伝統にプラス今の時代の流れを取り入れたいです」

今、やってみたい舞台は?
「先が見えるのに、せつない物語。一途で純粋なものは宝塚らしくて好きです」

※次号のフェアリーインタビューは、 雪組の音月桂さんの予定です。


-ホームページトップへ-

インタビュアー  名取千里(なとり ちさと)  
 (ティーオーエー、日本広報学会会員/現代文化研究会事務局 /宝塚NPOセンター理事  

主な編著書   
「タカラヅカ・フェニックス」 (あさひ高速印刷)   
「タカラヅカ・ベルエポック」(神戸新聞総合出版センター)  
 「仕事も!結婚も!」(恒友出版)