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発行日 2005年3月30日
著 者 柏木抄蘭
発行人 カオリ光惠
発行所 文抄房
印刷所 あさひ高速印刷株式会社
ウィズたからづか編集部
四六判 172ページ
定価1,500円(本体1,429円+税) |
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ピピアめふで、「メフ文学の会」を主宰している柏木さんは震災で神戸の自宅が全壊、その後仮住まいを経て、宝塚に移り住み執筆活動を続けている。震災後、兵庫県が震災復興の一環として行っている芸術文化支援への助成を受けて本を出版、3月に5冊目の「揺らぐ大地の上の小さな人間たち」を上梓した。今までにも震災を下敷きに、被災地神戸を縦断しながらある人物を探し求める女性を描いた小説「駱邏の女」を発表したが、「今度は自分の体験から得たものを具体的な形でとマニュアル風に書いてみました」と柏木さん。本の中には実体験から得た貴重な教訓が収められている。例えば、「今がいざという時」には、震災時にその判断ができたかどうかがその後の苦楽を決めると書かれている。いざという時の蓄えも心構えも生かされるかどうかは「今がいざという時」と判断するかどうかだと。
「揺らぐ大地が告げるもの」で締めくくられる最後の一節には、タイトルに込められた思い「宇宙から見れば小さな小さな人間たちが、神様が想定する以上の繁栄を極め、予測しなかった分野にも進出しつつあるのを諌めておられるのかもしれない」と記されている。
小説「終の闘い」は墓参りで出会う男女のかけひきを高齢社会の一端を垣間見るように興味深く書かれていて、「プリズムの果て」はミステリアスな親子関係に引き込まれていく。
親交のある作家、宮尾登美子さんからも震災のリアルな表現が圧巻だと感想が寄せられた。
大きい活字で読みやすく、手軽にハンドバックに入れて持ち歩けるようにとカバーと表紙を一体にしたコンパクトな体裁も好評。
震災や高齢社会という重い題材も柏木さんの筆によって身近に引き寄せられ、一気に読ませてしまう1冊である。
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