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-バックナンバー- 2005年6月号
宝塚歌劇団「桜の季節には初心にかえります。みんなそうだと思います。ビリでもいいから合格したいと思ったのが夢の始まり。入学したら一つでも成績を上げて初舞台を踏みたい。それから、新人公演で役をもらいたい、新人公演の主役をやりたい、宝塚バウホールで主演したい、ディナーショーもと、どんどん夢が膨らんでいくー。この役が欲しい、と役そのものに夢を抱いたのが研6の時。『花の業平』の藤原基経でした。それを新人公演でさせていただき、次は主役をしたいと欲が出てきて。『プラハの春』と『ガラスの風景』で新公主演、そして新公卒業後は本公演だけになってさみしいなと思っていたら、『それでも船は行く』でバウ主演のチャンスを頂き、幸せでした。『それでも船は行く』では、出演者15人で一つの舞台を創り上げることが本当に楽しくて、青春を味わうことができました。チームワークの重要性を考え、学年差のある下級生には自分の方から話しかけるようにしました。それは星組トップの湖月わたるさんが、私にして下さったこと。バウ主演の時、周りの人たちから支えられてうれしかったことを、今度は本公演でお返しするつもりです。周りが生き生きしていることが大事なんです。下級生は新人公演の稽古で悩むことが多く、それでも毎日、舞台を楽しくつとめられるようにアドバイスできたら、それが中堅と言われる立場の生徒の役割だと思います」

涼紫央さんが、まだ入団してまもない頃、ショートカットの髪型もズボンの着こなしも、自分の理想の男役にはほど遠く、じれったくて仕方がなかったそうだ。宝塚に憧れを募らせていた分、ギャップも大きかったのだろう。

だが次第に様になっていくにつれ、男役を演じるおもしろさも増してきた。
「宝塚の生徒が1番得意なのは、自分の弱点を見つけることです。コンプレックスを知ることで、長所が見つかる。そこをのばしていくのです」

好きなことのためなら人は強くなれる、というのは本当だ。
「いつも舞台を与えていただける宝塚では、自分のことは自分でやるのが基本です。これからは自分プロデュースみたいなことをもっとやっていきたいし、やるべき場所なんだなと思います。言葉にすると大げさですが、大きな夢を持ち、その夢を実現させるために小さな夢を重ねていくー。どんどん上を目指したいと思います」

ほかの芸能界とは違う、宝塚歌劇団でのやりがいが、涼紫央さんの全身に満ちている。



※次号のフェアリーインタビューは、星組の柚希礼音さんの予定です。

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インタビュアー  名取千里(なとり ちさと)  
 (ティーオーエー、日本広報学会会員/現代文化研究会事務局 /宝塚NPOセンター理事  

主な編著書   
「タカラヅカ・フェニックス」 (あさひ高速印刷)   
「タカラヅカ・ベルエポック」(神戸新聞総合出版センター)  
 「仕事も!結婚も!」(恒友出版)