バックナンバーへ|TOP | ||||||||||||
-バックナンバー- 2005年3月号 | ||||||||||||
2月半ばまで初詣で賑わう清荒神清澄寺。境内にある鉄斎美術館にも参詣者が多く訪れています。同館では、恒例になっている「鉄斎 吉祥画」展が開催され、長寿を人生最大の喜びとした鉄斎が中国の「詩経」や「道教」の経典から題材を得、長寿福録、を願って描いた作品を見ることができます。 |
||||
|
||||
私は遺跡をモチーフにロウケツ染の作品を制作していますが、20年前に中国八達嶺に行き長城に魅せられ、以後何回となく訪れ、様々な長城を染めています。遺跡に秘められた歴史を目の当たりにすると想像が膨らみ、制作意欲が掻き立てられます。中国に行ったことのない鉄斎が、あれだけの作品を描くことができたのは、中国の書物や経典などを読破し、想像力を巡らせる中で、自分が理想とする中国的な世界を確立していったからでしょうか。 吉祥画にしても、中国最古の詩歌集「詩経」や道教の書「荘子」から題材を得ていて、それが賛に記されています。解説を読むとなぜ鉄斎がその画を描いたかがよく判り、興味が湧いてきます。三千年に一度実を結ぶという桃を3回も盗んで長寿をほしいままにしたという前漢の東方朔の画などは顔つきがユーモラスで親しみを感じますね。鉄斎といえば南画という硬いイメージがあったのですが、作品を観ると、洒脱なものから重厚なものまで幅広く描いていて身近に感じました。また、書の達人でもありますね。賛のバランスが抜群で天性の才能を感じさせます。 |
||||
|
||||
-ホームページトップへ- |