「誰が演じても同じではつまらない。歴代のスターさんは、すごく自分を見つめて、自分のいいところを最大限に引き出し、自分だけの男役を創り上げていらっしゃる。私も充分追究していきたいと思います」 ファン時代に男役を見て、カッコいいな、と憧れ続けた。それが男役・大和悠河さんの原点だ。 「その男役を演じられるのが楽しい。男役は宝塚歌劇団でしか、できないスタイルですから」 他の舞台でも男性の役を女性が演じることはあるが、それは“宝塚の男役”とはまったく異なる存在である。 「宝塚ならではの、華やかに美しく、カッコいい男役を目指しています。まだまだできるぞ、というところを見ていただきたいです」 90周年の04年を、大和悠河さんは最高の成果で締めくくった。4度目の宝塚バウホール主演公演『THELASTPARTY』。アメリカ文学を代表する小説家スコット・フィッツジェラルドの半生を、大和さんはほとんど出ずっぱりの状態で演じ切った。出演者はわずか15名。セットの移動もなく、新しい試みに満ちた、魂のこもる舞台だった。 「台本をいただいて、まず感じたのが、台詞の多さと、いつ舞台袖に入れるんだろうという不安、そして舞台人としてはこんなにやりがいのあることはないという幸せでした。お稽古場から集中でき、舞台で感情が高まると思いがけない動きができることも実感しました。基本的には、お稽古場でできたことしか、舞台では絶対にできません。そういう意味ですごく充実感がありましたね。身を削って、無から何かを生み出す作家を演じることは、舞台人としての自分の生き方を深く考えるキッカケになりました」 2005年1月1日、宝塚歌劇百周年に向けての第1作、宝塚大劇場公演『ホテル ステラマリス』『レヴュー伝説』に出演する。大和悠河さんが加わった宙組本公演としては、2作目だ。 「この1年間、毎回、ちがうメンバーが集まって、どんなものが生まれるか、その中で自分がどう生きていくか、さまざまに感じ、考えることができました。1月の宙組全員での舞台に、どんな空気が流れるか、フレッシュな期待をもってお稽古に入りました。たくさんのかたに観ていただきたいです」 ポスターは、日本初のレヴュー『モン・パリ』誕生77周年記念の『レビュー伝説』。その華麗な衣装を着た大和悠河さんは、今にも飛び出してきそうな勢いに満ちている。 ※次号のフェアリーインタビューは、宙組の水夏希さんの予定です。
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インタビュアー 名取千里(なとり ちさと) (ティーオーエー、日本広報学会会員/現代文化研究会事務局 /宝塚NPOセンター理事
主な編著書 「タカラヅカ・フェニックス」 (あさひ高速印刷) 「タカラヅカ・ベルエポック」(神戸新聞総合出版センター) 「仕事も!結婚も!」(恒友出版)