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-バックナンバー- 2004年7月号

宝塚のドアを大きく開いた「宝塚GRAPH」の表紙やポスター

岡田 篠山先生が1998年から撮ってくださっている「宝塚GRAPH」の表紙、生徒たちが毎回、先生に撮っていただくのを楽しみにしているんです。おかげさまで本の中身もグレードアップして、ある部分、先生に宝塚のドアを大きく開けていただいた気がしています。

篠山 僕は97年にベトナムで真矢みきさんの写真集「GUY」を撮った時から宝塚を観始めたので、ファンとしては新しい方なのですが、5組のスターを万遍なく撮っていて、しかも素顔で自分の思う通りに演出できるというのは、外部の人間としては珍しい立場だと思います。宝塚の人はトレーニングしているから身体も動くし気持ちも動く。だから僕はたえず動いてもらう。発散し、楽しみながらやってくれるのがいいんです。

和央 何年か前、初めて「宝塚GRAPH」の表紙を撮っていただいた時に、とっぽい、とおっしゃったことが、すごくうれしかったんですね。私の中に、何かちがう自分がいるのかもしれないと。

篠山 いや、いい意味の、とっぽさです。すっきりしていて、切れ味がいいのが、和央さんの1番カッコいいところですよ。

岡田 篠山先生は何千人という人を撮っていらっしゃるけれども、宝塚の生徒の魅力をそれぞれに引き出してくださるのが、とてもうれしいですね。5組のトップスターを撮っていただいたポスターが、東京の地下鉄エリアすべてに貼られたことがあって、画期的だったのは男役が素顔に近いメイクで燕尾服を着たこと。それが、とても素敵だった。我々がもっていた概念を破っていただき、宝塚をまだごらんになっていない方へも広くアピールしていただいた。

篠山 僕は、ちゃんとすみれコードを守りますが、ギリギリです(笑)。90周年を迎えた宝塚歌劇のシステムやメソッドは完璧に出来上がってきていて、すばらしいんです。それをおもしろおかしく壊すのは簡単だが、壊してしまうと逆につまらない。僕は「宝塚GRAPH」でも特別、新しいことをやっているわけではなく、役の顔か、いわゆる宝塚メイクだったものを、本来の素顔の1番いいところを、より美しく、より強く、というスタイルでやっている。それでずいぶん写真がちがってくるんですよ。

和央 03年に岡田先生のロマンチック・レビュー第15作目の『テンプテーション!』のポスターを、篠山先生に撮っていただいた時、私たちはポスターが命だとお伝えしたんです。素顔に近いメイクで舞台衣装を着たのは初めてだったので、どんなになるのか、わからなかった。

篠山 それは撮る側も冒険ですが、撮られる人たちも不安の中で冒険をやってくれたんです。気にくわないのができたら、やっぱりたまらないと思いますよ。

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