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-バックナンバー- 2004年5月号 | ||||||||||||
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神戸東灘で地震に遭遇し、全壊家屋の中に閉じ込められるという怖い経験をして、緑多き宝塚に移り住んだという柏木抄蘭さん。その時すべての作品と資料を失い、出版作業も必要であることに気づいた。その後、四冊を仕上げ、阪神淡路大震災復興基金被災地芸術文化活動の支援を受け、この度「ポエティカルに薔薇言葉」を自費出版の形で発行した。 前作は後白河法皇と遊女たちによる歌が文字となった梁塵秘抄のなりたちを書いた「東雲に絶えでと謌え」。今度は軽い読物をという読者からのリクエストにこたえ、大人の読める童話「ポエティカル(詩興風)に薔薇言葉」を柔らかいタッチで書き上げた。高齢者にも読みやすいように字も大きくした。 人づきあいが下手で可愛げのない女主人公初そ那なが偶然見つけたガラス玉、その玉の中に赤い薔薇の花が入っていて文字が浮かぶという不思議な小説。初那の人生の節目に何度となく浮かびあがる「薔薇言葉」はゲーテ詩集やシラー、チャールス・チャプリン、フォルベスの言葉の引用で、意味は深く読者の心に響き、主人公を取りまくシビアな物語の流れとともに、詩を自分へのメッセージとしても受けとめることができる。 「私は少女の頃より書く機会が多く、文字に埋まっていれば幸せでしたが、本格的に小説に取り組み初めたのは五十歳をすぎてからです。運良く再度の受賞にも恵まれ、主婦業にも定年があればイイな、と思いつつ、毎日一字ずつ積み重ねている次第です」 |
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