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-バックナンバー- 2004年3月号 | ||||||||||||
新春の鉄斎美術館では恒例となっている「めでたい」画題を集めた「鉄斎 吉祥画」展が3月7日まで開かれています。九十歳を前にして既に九十落款を用い、長寿を人生の大きな喜びとした鉄斎は古希や喜寿、米寿に吉祥画を描いたのを始め年中行事の慶祝や中国故事にみる不老長生、子孫繁栄を題材に多くを描きました。 この展覧会では中でも花鳥に寓意した作品が展示されています。鉄斎とも縁の深い白鷹禄水苑のプロデューサー辰馬朱滿子さんと初春にふさわしい画を鑑賞しました。 |
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悦叟の喜寿の祝いにも吉祥画が贈られた | ||||||||
鉄斎が79歳で辰馬家に逗留した折に描いた六曲一双屏風「阿倍仲麻呂明州望月図」「円通大師呉門隠栖図」は重要文化財に指定されています。墓銘も鉄斎の書によるものですが、最後に「人は酒の美うまきことを称するも我は君が誠を称す」と結ばれていて、悦叟の生き方を見るようで私は感銘を受けました。 この展覧会は吉祥画の中でも花鳥画を集め、扇面も「鶴図・亀図」や「歳寒二友図」などの花鳥画が展示されていますが、私は花鳥を描いた鉄斎の扇面が好きで考古資料館で企画している春の鉄斎展の時には扇面展のような企画をすることもあります。扇面という小さな空間の中に花鳥や風景が生き生きと表現され味わい深いものがあります。 日本人の暮らしの中にあった書画が伝統的な暮らしの喪失とともに失われている今こそ、日本の四季に根ざした文化を見直したいですね。 私がプロデュースしている禄水苑では悦叟の邸宅を再現した商家の暮らしの歳時記を展示し、そこから質素倹約の精神やものづくりへの心意気など日本人が大切にしていたものを再認識してもらえればと思っています。気軽に参加できる文化講座も企画しており、これからは自治体とも連携したり、ミュージアム同士の共同企画なども考え、地域の文化の拠点になる事ができればと考えています。 |
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