明治黎明期の国際結婚といえば、モルガンお雪、ラグーザお玉とクーデンホーフ・光子と言われるが、その史実はあまり知られていない。
光子について書かれた著書も数少なく次男リヒアルトの「回想録」「美の国」と次女の「母の思い出」が重要な文献となっておりその資料をもとに検証を深め、東京の町娘、光子が異文化の中でクーデンホーフ伯爵の早い死を乗り越え、波乱の運命に立ち向かった素顔に迫っている。4男3女をもうけ文化の違いに悩みながらも立派に子どもを育てあげた光子。
堀口さんは今年10月に3男ゲロルフの子息で画家のミヒャエル氏とも来日中に面会を果たしている。
「真の国際化を考える時、日本人として先進的役割を果たした光子の精神から学ぶ事は多いのではないか」と堀口さんは語っている。
この書に描かれた光子像を通して、近代日本の女性が見えてくるのではないか。堀口さんが撮影した在りし日のロンスペルク城や夫の死後移り住んだシェーンブルン宮殿近くの邸宅など、興味深い。 |