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-バックナンバー- 2002年4月号




あらゆる可能性を秘めた創造の場所
 今回オープンしたぷらざこむ1の1階には、 ボランティア活動センターと、 オープンな活動スペースが中庭を挟んで2か所、 掲示コーナー、 図書閲覧コーナー、 印刷室、 パソコンや音響機器が設置されている情報コーナーがあり設備も充実。 また、 喫茶コーナーや、 レストランも設けられ、 そこから見渡せるデッキはおしゃれな屋外活動スペースとして利用でき、 工作室へと続く。
 2階は18名収容の小会議室からパテーションを開くと最大54名 (椅子のみで100名) まで入れる大会議室が合計10室 (うち映写スクリーンが設置されている会議室4)、 全ての部屋に補聴器誘導ループアンテナが設置されているほか、 室内の引き戸にはセンサーが設置され閉戸時、 人の気配があれば自動的に止まる仕組になっているなど、 細かい配慮が見られる。 他にも調理器具が揃ったクッキングルーム、 外音を遮断できるレコーディングルーム、 子ども用バスタブやトイレを設置したプレイルームがあり、 子ども連れでも安心して利用できるなど、 どんな集まりにも対応できるように工夫されている。
 天井から外光を取り入れたワンフロアーの3階はフリースペースで、 外部のテラスを含めるとかなりの広さになる。 どんな風に使うかはアイデア次第というところだろう。
 中庭を造ることによって、 建物全体に光が差し込むように設計されているため、 どの部屋も明るく、 車椅子でも楽々すれ違える手すり付きの廊下、 ゆとりのある多目的トイレなど、 ユニバーサルデザイン (みんなに優しいデザイン) が各所にみられる設計。 そして、 ゴミ箱は一切なしというのが、 21世紀の市民活動を象徴しているようでうれしい。

特別な人はいない、みんなが作り上げていく場所に
 ぷらざこむ1は、 「財団法人プラザ・コム」 が維持管理するボランティア支援センターで、 ボランティアの相談やコーディネートに関しては宝塚市社会福祉協会・ボランティア活動センターの職員が担当し、 実際の運営は利用者によって構成される 「利用者運営委員会」 (現在20人) が行う、 みんなで共に作っていく場所。 財団は市民が活動する場所を提供するという考え方だ。 ボランティアグループとしての登録基準さえ満たせば、 全館を無料で使える。
 現在、 宝塚市には、 会食サービスや介護、 手話や要約筆記など、 ボランティア動センターが把握しているだけで250のボランティアグループ (うち登録分104) があるが、 それらの活動の拠点として、 また活動場所のひとつとして期待が寄せられている。
 財団法人プラザ・コムを設立したのは市内に住む岡本光一さんと岡本明美さん。 「誰かがやる、 ではなくて自分がやらなきゃと」、 震災をきっかけにボランティア活動を始めたと言う。

最初は何をすればいいのか、 どこに行けばいいのかさえ分からず、 とりあえず社会福祉協議会の震災ボランティアとして登録、 活動をはじめた。 しかし、 これほどまでに多くの人たちが震災以前からボランティア活動に従事しているにもかかわらず、 ボランティアの数に対して活動場所が足らないという現状に直面することになる。
 自分たちがボランティア活動を通じて学んだ、 人が助け合い一緒に生きていける 「共生」 の精神をもっともっと広げていきたい、 情報交換ができ、 共に学び触れ合う場所が欲しい。 そんな気持ちから岡本夫妻は、 99年に財団法人プラザ・コムを設立、 駅に近い場所にこだわって土地探しから始め、 阪急売布神社に近い場所を確保し、 センターの設立を考えた。
 私財を投じた事に対しては 「自分たちに今できることは何かを一人ひとりが考える事が一番大事なこと」 と岡本夫妻は声を揃える。 ボランティアの心は、 事の大きさでも掛け声でも器だけでも無い。 一人ひとりが地域社会の問題を自らの問題として受け止め、 お互いにできることをやる。 センターの建設は、 そんな成熟したコミュニティー社会を形成するための一助だ言えるのではないだろうか。
 阪神大震災と同じ1月17日に行われた内覧会には、 大々的な宣伝をしたわけでは無いにもかかわらず、 今、 ボランティア活動をしている人たちだけではなく、 多くの子ども連れや、 障害者の人たちが見学に訪れ、 来場者は約1000人にも達した。 「のんびりくつろぐ子どもたちがいたことが本当にうれしい」 と岡本明美さんが目を細めていたのが印象的だ。 さて、 どう器を生かしていくかは私たち市民の番。

 財団法人 プラザ・コム
 TEL0797(83)1700
 FAX 0797(83)1701

 社会福祉法人 宝塚市社会福祉協議会
 ボランティア活動センター

 TEL0797(86)5001
 FAX0797(83)2425
 休館日 国民の休日、 年末年始 (12/29〜1/3)
     お盆 (8/13〜15)
 開館時間 9:00〜21:00
 会議室予約 登録グループのみ可能
 料金 無料
 駐車場 施設利用者は無料

 ※総合福祉センター内ボランティアセンターは移転。
 ソリオコーナーは3月末に閉鎖。