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-バックナンバー- 2002年10月号 | ||||||||||||
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日本の歴史に残る文人、富岡鉄斎は特定の師を持たず画派や画風を越えて先人の作品を数多く摸写し、鉄斎独自の世界を確立しました。鉄斎美術館では10月14日まで「鉄斎の粉本−摸写のいろいろ−」が開催され、鉄斎が関心を抱いた人物や尊敬した文人の摸写が展示されています。鉄斎の興味や関心がどこに向かっていたのかまで読みとれ面白い展示です。
この展覧会を浪速のシャガールといわれNGKの舞台に立ちながらライフワークとして絵を描き続けている漫才師、ちゃらんぽらんの大西浩仁さんと訪ねました。 |
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僕は漫才をやりながらずっと絵を描き続けているんですが、描かされているというか自然に心と体が動いてしまうんです。今も銭湯や温泉に富士山を描く「温泉百選絵画」で全国行脚をしています。今年は吉本興業90周年記念にNGKの前で「吉本七福神」を描きました。神社仏閣が好きなんで仏像はモチーフの一つですね。ほとんど抽象画ですが、内面を表現するには形は邪魔なんです。人物画にしても肩書きではなくその人物に惚れていなければ本当の絵は描けない。鉄斎は形から入るのではなく自分が興味があるもの、感動したものを描いているから勢いがあって素晴らしい。鉄斎は勉強のために数多く摸写をしたそうですが、摸写は自分探しですね。それを発酵させて自分にしかできない表現を生み出してこそ本物です。そして、鉄斎は最晩年に観るものに感動を与える力強い絵を描いている。美術館に来ると、「なんで、そんな絵が描けたんやろか」と時代を遡って絵を観てみるんです。絵を通して鉄斎が放つ空気に触れたいんです。現代が失ってしまったといってもいい鉄斎的価値観に触れる、美術館はそんな空間ともいえますね。
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