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-バックナンバー- 2001年10月号

 「ベルサイユのばら2001―オスカルとアンドレ編」 第1幕の最終場面、 真飛聖さん演じるアランが、 オスカルへの反抗心をあらわに登場した瞬間、 満員の観客が固唾をのんで静まり返った。 シーンとした客席に緊張感が漲る。
 自ら願い出て王妃付きの近衛隊から平民を守る衛兵隊に転属したオスカル隊長に対して、 衛兵隊士アランが 「女の命令は聞けない」 とことごとく反抗する、 前半の山場である。  
 主役オスカルを演じるのはトップスター稔幸。 アランの真飛聖さんはまだ研7だ。
 「アランは隊員たちのリーダー的存在ですが、 孤独感を秘めていて、 どこか陰があります。 今回は出てきませんが原作にはディアンヌという妹がいて、 彼女の死に直面して慟哭する場面があるんですよ。 そんなアランの人物像や人生が少しでもお客様に伝わるように演じたいです」
 取材にそう答えてくれた真飛聖さんの、 突き抜けたような明るさを、 ふと思い出した。
 星組公演 「ベルサイユのばら2001―オスカルとアンドレ編」 は、 今春、 東京でスタートした。 新東京宝塚劇場が元旦に開場し、 月組がこけら落とし公演をつとめた。 それに続く異例の東京初演公演である。 通常は宝塚大劇場で一カ月半、 公演したあと、 東京で公演する。
 新劇場は日比谷のビル街に建ち、 夜の公演も行なわれる。 宝塚歌劇専用劇場とはいえ不慣れな新劇場で、 本拠地の宝塚大劇場とは異なる変則的なスケジュールをこなし、 真飛聖さんはアランと、 新人公演の主役オスカルを堂々と演じた。
 「新人公演のお稽古は本公演の初日が開いてから始まります。 その本公演でストーリーに関係する重要な人物のアラン役をいただき、 まずアランを集中的にがんばらなければと。 だから新人公演のオスカルは、 こうしたいと思うことがたくさんあったにもかかわらず、 やり残したことが多かったです」
 今回は新人公演日が初日と近く、 稽古期間も特別、 短かった。 たった一週間。 カットした場面はあったものの、 一本物で休憩なしの一時間50分を続けて演じる新人公演は異例のことだった。
 その東京公演後、 全国ツアー 「風と共に去りぬ」 や 「パリ祭」 に出演し、 本拠地に戻って宝塚大劇場公演を迎えた。
「今回の新人公演は主役であり最上級生の立場なので、 出演メンバーをまとめる役目もあります。 入団5年目で初めて新人公演の主役に抜擢されたときは、 相手役も上級生で、 みなさんからいろんなことを教えてもらいました。 やはり今回はそのときの心構えとはちがったものがあります」
 真飛聖さんの新人公演初主役は1999年 「我が愛は山の彼方に」 の朴秀民だ。 配役を書いた香盤が張り出されたのを遠くから見て、 なんだかむつかしい字が書いてあるなあ、 と思っただけだったという。 「トップの稔幸さんがボクシュウミン役なのはもちろん、 知っていましたよ。 でも、 漢字で朴秀民と書くとは知らなかったんです (笑)」

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